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女子トイレに入り盗撮

2019-11-25

女子トイレに入り盗撮

アルバイトとして働くAさん(28歳)は、東京都千代田区にあるオフィスビルの1室で、Aさんのほか同僚3名と勤務していました。
Aさんは、同僚のうちVさん(25歳)に好意を抱いており、Vさんのことをもっと知りたいと思っていましたが、なかなかその思いを打ち明けられずにいました。
そのような中、Aさんは、Vさんが女子トイレに入り、小便をしている場面をスマートフォンで撮影しようと思うようになりました。
そこで、Aさんは、Vさんが席を立ったところを見計らってVさんの後をついていき、Vさんが同じフロアーの女子トイレに入ったことを確認して、女子トイレに入りました。
そして、Aさんは洗面台に上って、あらかじめ起動していたスマートフォンでVさんの様子を動画撮影しました。
ところがその直後、Aさんは、女子トイレに入ってきた別の女性と鉢合わせになり、その女性に大声を挙げられてしまいました。
そして、Aさんは、その声を聞いて駆けつけてきたビルの管理人らに事情を聴かれることになり、最終的に、警視庁丸の内警察署に建造物侵入罪、迷惑行為防止条例違反で逮捕されてしまいました。
なお、Aさんのスマートフォン内にはVさんの様子は写ってなかったとのことです。
(フィクションです)

~ 女子トイレ内での盗撮 ~

盗撮といえば、電車内、駅構内などの公共の場所、乗り物での行為をイメージしがちです。
しかし、自治体によっては、たとえば以下のような規定を条例に設け、公共の場所、乗り物以外での盗撮行為も規制しています。

例:東京都迷惑防止条例5条1項
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
2号  次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

つまり、東京都では、いわゆる「公共の場所」だけではなく、住居等の人が通常衣服の全部または一部を身に着けないような場所や、不特定又は多数の者が出入りする場所についての盗撮行為盗撮行為のための写真機等の差し向け・設置についても規制しているのです。
今回、AさんのスマートフォンにはVさんの様子は写っていなかったということですが、そのような場合でも東京都迷惑防止条例違反に当たる可能性がありますから注意が必要です。
なお、写真機等にはカメラ機能つきのスマートフォンや携帯電話も含まれます。

罰則は、東京都の場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の規定となっています。

~ 盗撮は建造物侵入罪にも当たる場合がある ~

また、女子トイレは1個の「建造物」であり、そこに正当な理由なく立ち入った場合は建造物侵入罪に当たる可能性があります。

刑法130条前段
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物(略)に侵入し、(略)者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

「侵入」とは、その建造物を管理している管理者の意思に反して立ち入ることをいいます。
本件の管理者は、オフィスビルを統括的に管理している管理者であり、盗撮目的の立ち入りは、その管理者の意思に反するといえますから、Aさんの立ち入りは「侵入」に当たる可能性が高いでしょう。
Aさんが女子トイレに立ち入ったことについては、鉢合わせとなった女性の話から明らかとなるでしょう。
また、盗撮目的で立ち入ったことについては、動画に記録された日時等から強く推測されてしまう可能性があります。

~ 盗撮事件の弁護活動 ~

弁護士としては、Aさんの早期釈放に努めることが考えられます。
勾留前であれば、検察官や裁判官に勾留しないように働きかけることができます。
また、勾留後であっても勾留決定に対する不服申し立てを行って早期釈放に努めることが可能です。
事実を認める場合は、建物の看守者や盗撮の被害者に被害弁償、示談交渉を行い、不起訴処分獲得を目指すことも考えられるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。

奈良県奈良市の盗撮事件での弁護活動

2019-11-20

奈良県奈良市の盗撮事件での弁護活動

奈良県奈良市盗撮事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは、奈良県奈良市内の駅上り階段において、女性Vのスカートの中を、スマートフォンのカメラ機能を用いて盗撮してしまいました。
撮影した瞬間、シャッター音が鳴ってしまったので、Vに気付かれ、奈良県奈良警察署に通報されてしまいました。
近くの交番から駆け付けた警察官がAさんのスマートフォンの画像フォルダを確認したところ、盗撮写真が発見されたので、Aさんは奈良県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~奈良県内の駅で盗撮事件を起こしてしまった~

奈良県内の駅で盗撮事件を起こしてしまった場合、奈良県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。

奈良県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第12条1項2号は、
「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゆう恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに」「着衣等の全部若しくは一部を着けないでいる他人の姿態若しくは着衣で覆われている他人の下着若しくは胸部等の身体をのぞき見し、又は写真機等を使用して、その映像を記録する行為であつて卑わいなもの」
をしてはならないとしています。

上記規定に違反し、有罪判決を受ける場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(奈良県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第13条1項)。

~盗撮で現行犯逮捕後、どうなる?~

現行犯逮捕されてしまった後は、警察署に引致され、犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明された後、Aさんの弁解を聞かれます。
この時に、当番弁護士を呼ぶこともできます。

その後、取調べを受けることになりますが、逮捕された段階でスマートフォンは押収され、画像フォルダの他の画像も見られてしまうものと思われます。
画像フォルダに他の盗撮画像などがあれば、その件についても尋ねられるでしょう。

~取調べで黙秘すべきか、正直に供述するべきか?~

日本においては黙秘権が保障されているので、警察官の問いかけに一切答えないでいることは可能です。
したがって、Aさんが話したくないことは、黙秘しても構いません。
ただし、実務上、黙秘を続ける場合、罪証隠滅のおそれがあると判断されやすく、身体拘束を長引かせてしまう可能性もあります。

記憶違いや言い間違いのおそれがないなど、特に問題がなければ、正直に知っていることを話すのも選択肢の一つといえます。
また、正直に供述することにより、裏付け捜査が進んで早く捜査が終わったり、反省していたため捜査に協力的であったと評価され、処分が軽くなることも考えられます。

ですが、よく分からないまま取調べで話してしまったがゆえに自分の意図しない不利な供述にとらえられてしまうリスクもあります。

このように黙秘権を行使するか否かは、難しい問題です。
接見にやってきた弁護士とよく相談し、取調べ対応の方針を決めましょう。

~示談交渉を弁護士に依頼~

捜査中に示談が成立すれば、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないものと判断され、釈放される可能性が高まります。
さらに、捜査の最終段階において、検察官が不起訴処分を行う可能性を高めることもできます。

示談を成立させることには、Aさんにより軽い処分がなされる可能性を高める効果があるだけでなく、身柄解放活動としての側面もあるのです。

~釈放された場合はどうすべき?~

勾留がつかずに済んだ、あるいは勾留中に釈放されるなどして、外に出ることができた場合であっても、事件が解決したわけではありません。
後に、検察官がAさんを起訴するか、または不起訴にするかを判断する機会があります。
それまでに、Aさんにとって有利な処分がなされるよう働きかけなければなりません。

不起訴処分がなされれば、裁判にかけられずに済むので、前科が付かずに済みます。
反対に、起訴されてしまう場合、Aさんが盗撮事件の初犯であれば、略式手続により、罰金を言い渡されることによって事件が終了する可能性が高いと思われます。

ただし、略式手続は、原則として、検察官のみの証拠により判断されることになります。
もし、事件に関してAさんがどうしても主張したいことがある場合(例えば、検察官の証拠について争いたい場合など)に略式手続に応じるのは賢明ではありません。
この場合は、略式手続に同意せず、公判でAさんの主張を裁判官に伝えるべきか否かを検討しなければなりません。
略式手続に応じるべきかどうかについては、弁護士と相談した上で判断することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、盗撮事件の解決実績も豊富です。
ご家族が盗撮事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

学校職員が学校で盗撮

2019-11-15

学校職員が学校で盗撮

学校職員が学校で盗撮をしたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは愛知県名古屋市中村区内にある大学の職員です。
Aさんは勤務先の大学の便所において、使用中のトイレの個室の中をスマートフォンのカメラを用い撮影してしまいました。
中にいた女子生徒Vさん(20歳)が驚いてドアを開けると、Aさんがいました。
Vさんは愛知県中村警察署盗撮されたとして被害届を提出し、Aさんは警察官に話を聞かれ、後日愛知県中村警察署に出頭することになりました。
(フィクションです)

~Aさんが行った盗撮は何罪?~

今回Aさんが行った盗撮には、愛知県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が極めて高いと思われます。

愛知県迷惑行為防止条例第2条の2第3項1号は、
①住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、
②正当な理由なく、
③人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、
④人の姿態をのぞき見し、又は撮影すること
を禁止しています。

Aさんは、勤務先の便所において、正当な理由なく、人(女子生徒Vさん)の姿態を撮影したものであり、また、同撮影行為はVさんにおいて著しく羞恥心を与え、又は不安を覚えさせる行為であるということができるので、Aさんの行為が愛知県迷惑行為防止条例違反の罪を構成する可能性は極めて高いと思われます。
この盗撮行為による愛知県迷惑行為防止条例違反で有罪が確定すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

また、今回のようなトイレの個室の盗撮の場合、建物の管理者である大学の意思に反し、盗撮目的でトイレに入ったとされれば、建造物侵入罪に問われるおそれもあります。

~Aさんは今後どうなるか?~

Aさんは愛知県中村警察署に出頭することになっているようですが、警察署に出頭した後には取調べを受けることになります。
取調べでは、盗撮するに至った経緯や、余罪=ほかにも盗撮を行っている事実はないかどうかといったことを聞かれることになるでしょう。

~逮捕される可能性は?~

逮捕には、①通常逮捕、②現行犯逮捕、③緊急逮捕の3種類があります。
②は「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わつた」場合のみ可能です。
例えば、Vさんが犯行時にAさんを見つけその場で自らAさんを捕まえて警察に引き渡した場合が考えられます。
③は「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」の場合に、特定の状況下で令状なしに逮捕する逮捕を指します。

今回のケースでは②も③も当てはまりませんから、Aさんがケースの件で逮捕されるとすれば、①の通常逮捕がなされる可能性が考えられます。
AさんはVさんが届け出たあと、出頭を求められるまで在宅で待機する等Vさんに接触しないようにしていれば、学校職員という職についていることをも考慮すると、警察の求めに応じて出頭する限り、それほど逮捕される可能性は高くはないでしょう。
もっとも、出頭するまでのAさんの行動や、取調べにおけるやり取り、余罪が発覚した場合の余罪の種類によっては、出頭後に逮捕されてしまうことは十分あり得ます。
以下に、ケースの件に関して逮捕されるリスクを高める行動の例を紹介しましょう。

例・・・出頭前に逃亡する、急に出勤しなくなる、盗撮画像などの証拠を勝手に消去する、Vさんと接触を試みるなど

通常逮捕は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(嫌疑の相当性)がある場合にはじめて適法に行うことができます。
ただし、罪証隠滅や逃亡のおそれが全くないなど明らかに逮捕の必要がないと認められる場合には、逮捕状は発付されません。

上記の例に挙げた行為は、いずれも罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあると判断されるリスクを高める行為です。
在宅事件で捜査されているときは、逮捕されていないというメリットを最大限生かさなければなりません。
みずから逮捕されるリスクを高めることは、得策ではない、ということです。
出頭前に弁護士と相談し、出頭前、あるいは出頭後、どのように行動すればよいかについて助言を受けましょう。

~示談をし、有利な処分の獲得を目指す~

被害者と示談を成立させることにより、さまざまなメリットが考えられます。
例えば、示談を成立させていることにより、当事者間において事件が解決しているものとして、逮捕されるリスクが低減します。

また、検察官は捜査段階の最後に、Aさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めるのですが、示談を成立させることにより、不起訴処分を獲得できる可能性を高めることができます。

さらに、刑事事件とは別に、Vさんから損害賠償請求を受けるなど、民事紛争に巻き込まれるリスクを無くすことができます。
また、Vさんだけでなく大学とも示談や今後の処分などについても交渉する必要があるでしょう。
示談交渉についても、弁護士と相談し、有利な解決に向けて行動すべきです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、ケースのような盗撮事件の解決実績も豊富です。
愛知県内で盗撮事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。 

福岡県筑後市でのぞき

2019-11-10

福岡県筑後市でのぞき

福岡県筑後市のぞき事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事件】

Aさんは福岡県筑後市内にある住宅敷地内に侵入し,浴室にスマホを差し入れてVさん(女性,28歳)の裸体をのぞき見ました。
スマホに気付いたVさんが騒ぎ,Aさんは同居していたVさんの父親の通報により駆けつけた福岡県筑後警察署の警察官により現行犯逮捕されました。
なお,Aさんのスマホに映像は保存されていませんでした。
(フィクションです)

【のぞきによる犯罪】

のぞき行為によって成立することが考えられる犯罪は,主に書く都道府県の定める迷惑防止条例違反と軽犯罪法違反です。
さらに,のぞき目的で他人の住居に侵入した場合は住居侵入罪に問われる可能性もあります。

【のぞきと迷惑防止条例違反】

迷惑行為防止条例はのぞきの他にも痴漢などを処罰する規定を含む条例です。
福岡県の迷惑防止条例を見てみましょう。

福岡県迷惑行為防止条例第6条第2項
「何人も,公共の場所,公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において,正当な理由がないのに,前項に規定する方法(人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような方法)で次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着をのぞき見し,又は写真機,ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。)を用いて撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること 」

同条第3項
「何人も,正当な理由がないのに,第一項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 公衆便所,公衆浴場,公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し,又は写真機等を用いて撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること」

つまり,福岡県が処罰対象としているのぞき行為とは,公共の場所や乗り物で,人を著しく羞恥させ,または人に不安を覚えさせるような方法で行われたのぞき行為で,次の①または②の場合に当たるものをいいます。

①通常衣服で隠されている他人の身体や下着をのぞき見すること。
②公衆便所や公衆浴場など公衆が通常衣服の一部または全部を着けない状態でいるような場所で,衣服の一部または全部を着けないでいる状態にある人の姿態をのぞき見すること。

なお,①や②の目的でカメラを向けるだけで犯罪となりますので注意してください。

福岡県では,これらののぞき行為によって迷惑行為防止条例違反が認められた場合の法定刑は6月以下の懲役または50万円以下の罰金となっています(福岡県迷惑防止条例第11条第2項)。
さらに,常習的にのぞき行為を行っていたと認められてしまった場合の法定刑は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

以上のように,福岡県では基本的に公共の場でのぞきを行った場合に迷惑防止条例違反に問われる可能性が生じます。
今回の事例のAさんは,浴室内のVさんの裸体をのぞき見ていますが,Vさんの住宅で行われたのぞき行為ですので迷惑防止条例違反に当たる可能性は低いです。

【のぞきと軽犯罪法違反】

軽犯罪法第1条第23号は「正当な理由がなくて人の住居,浴場,更衣場,便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を拘留または科料に処することを定めています。

Aさんが行ったのぞき行為はVさんの浴室内をのぞき見たものですので,軽犯罪法違反に問われる可能性が高いということになります。

ここで一つ注意したいのが,軽犯罪法違反に問われるのぞき行為は,人を見るものではなく人の住居内をのぞく行為だということです。
つまり,実際に人の下着や裸体などを見ていなくても軽犯罪法違反となる可能性があるということになります。

【のぞきと住居侵入罪】

人の家の中をのぞき見る際に私有地に勝手に立ち入った場合,住居侵入罪や建造物侵入罪(刑法第130条前段)が成立することも考えられます。

個人の家の中でなく,迷惑防止条例違反に該当する公共の場所をのぞき見るために私有地に侵入した際にも,同様に住居侵入罪ないし建造物侵入罪にも問われる可能性があります。

住居侵入罪や建造物侵入罪の法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

【のぞき事件の弁護活動】

Aさんのようにのぞき行為で逮捕されると,起訴・不起訴がなされるまででも最大で23日間という長い間身柄が拘束されます。
起訴されれば裁判期間中も拘束が継続することも考えられます。
よって,逮捕や勾留の伴うのぞき事件を依頼された弁護士は早期の身柄の解放を目指すことになるでしょう。
刑事手続きにおける身体拘束の条件は被疑者に逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれ等があることなので,これらのおそれがないことを主張していくことが考えられます。
のぞきは比較的軽微な犯罪ですので,常習性や前科前歴がなかったりする場合,微罪処分として事件を検察に送ることなく早期に終了させることができることもあります。

また,被害者と示談を成立させることによって微罪処分や不起訴を獲得することを目指すことものぞき事件における弁護活動の一つです。
先ほど触れたように,のぞき行為は比較的軽微な犯罪ではありますが,犯罪であることに変わりはありません。
早期に対応しなければ,思わぬ不利益を被ることになりかねません。

のぞき行為で逮捕されてしまった方,ご家族やご友人が福岡県筑後警察署に逮捕されて困っている方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

勾留中の大学受験

2019-11-05

勾留中の大学受験

勾留中に大学受験を控えた被疑者に向けた弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~
Aさん(21歳)は浪人生活を重ね、大学受験の勉強に勤しんでいましたが、ある日、京都府南丹市内の駅において、魔が差してしまい、女性のスカート内を盗撮する事件を起こしてしまいました。
京都府南丹警察署に逮捕されてから2日後、勾留決定がなされ、Aさんは10日間勾留されることになりました。
しかし、Aさんは6日後に志望する大学の受験日を控えています。
盗撮してしまったことは反省しているつもりですが、長らく受験勉強に勤しんできたからには、是非とも受験したいと考えています。
どうしたらよいのでしょうか。
(フィクションです)

~駅内の盗撮は何罪?~

駅などで他人のスカート内を盗撮すると、多くの場合、犯行を行った都道府県が制定する「迷惑行為防止条例違反の罪」に問われることになります。
多数人が利用する駅の階段やエスカレーターでは、私服の警察官が盗撮行為などを警戒していることがあります。
盗撮をうかがわせる不審な行動が認められる者をマークし、盗撮を行った段階で検挙する捜査がよく行われます。

盗撮行為は条例で規制されているので、法定刑は各都道府県によって異なる場合があります。
例えば、今回のケースの起きた京都府では、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(京都府迷惑行為防止条例第10条第2項)。
北海道では、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です(北海道迷惑行為防止条例第11条1項・第2条の2第2号ア)。

~逮捕された後はどうなるか?~

逮捕・勾留はあくまでも捜査の手段の1つです。
したがって、刑罰ではありません。
しかし、逮捕・勾留中は、留置場や拘置所の外に出ることはできず、また、自身だけで外部と連絡を取ることもできません。
弁護士を呼ぶ場合は、警察官などに頼んで連絡してもらうことになります。

また、接見禁止がなされると、弁護人や弁護人になろうとする者以外の者と面会することや、手紙のやり取りなどができなくなる場合があります。
この場合、例え家族、親族であっても、面会することはできなくなります。

逮捕・勾留は以上のように、被疑者・被告人に対し、非常に重い負担がかかる手続です。
当然ながら、このままでは受験どころの状況ではないといえます。

~逮捕・勾留中に受験する方法はないか?~

勾留決定につき、法律上の問題がない場合、また、勾留の理由及び勾留の必要が現在も認められる場合には、「準抗告」、「勾留取消請求」を行ったとしても、棄却又は却下されてしまいます。

このような場合には、「勾留の執行停止」という制度を利用することが考えられます。
刑事訴訟法第95条は、「裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる」としています。
条文中には、「被告人」とありますが、捜査段階の「被疑者」の勾留に対しても準用されます(刑事訴訟法第207条1項)。

執行停止が認められる場合として、実務上、①被告人の病気、②特に親しい近親者の病気や冠婚葬祭、③学生の試験があります。
執行停止は期間が定められ、一時的なものになることが多いです。
Aさんは学生ではありませんが、6日後に大学受験を控えていることにより、執行停止が認められる可能性があります。

勾留執行停止の申請を行い、認められると、勾留の執行が一時的に停止され、外に出ることができます。
外に出ることができれば、受験会場に行くことができます。

大学受験を控えながら事件を起こしてしまった場合は、上記の手段により、受験することができるかもしれません。
このような場合は、接見にやってきた弁護士に、「勾留の執行停止」について意見を求め、実現できる見込みについてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が大学受験を控えながら、盗撮事件を起こしてしまいお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

盗撮事件で逮捕当日面会の弁護士

2019-10-31

盗撮事件で逮捕当日面会の弁護士

盗撮事件の逮捕者との面会タイミングについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~
兵庫県川西市在住のAさん(20代男性)は、駅前の商店街で、大通りを歩く女性を盗撮したとして、兵庫県の迷惑防止条例違反の容疑で、兵庫県川西警察署に現行犯逮捕された。
Aさんの家族は、Aさん逮捕の知らせを聞いて、Aさんとの面会に行こうと考えたが、兵庫県川西警察署の警察官から「家族の人は、逮捕されてからすぐには面会できない。土曜日曜も面会できない」と伝えられた。
Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に逮捕当日の面会(初回接見)を依頼して、兵庫県川西警察署逮捕されているAさんのもとに弁護士を派遣し、今後の事件の見通しや、弁護活動の方針について、弁護士のアドバイスを受けることにした。
(事実を基にしたフィクションです)

~弁護士や家族が逮捕者と面会できるタイミング~

逮捕された人と面会できるタイミングは、「弁護士」と「弁護士以外の人(家族など)」で大きく異なります。
逮捕されている人には「弁護士と自由に面会する権利」が認められているため、弁護士であれば自由なタイミングで、たとえ逮捕当日であっても、逮捕者と面会することができます。

他方で、「弁護士以外の人(家族など)」の場合には、「逮捕中」「勾留中」「刑務所で服役中」「少年事件で観護措置中」「少年院送致中」といった身柄拘束の種類に応じて、面会できるタイミングや、面会者が逮捕者と一定の関係性(親族など)を有する必要がある、といった制限があります。

~逮捕直後の面会~

原則として、「弁護士以外の人」が逮捕直後の人と面会することはできません。
逮捕直後の「逮捕から72時間以内に勾留判断がなされて、さらに身柄拘束が続くことが決定されるまでの期間」は、弁護士だけが逮捕者と面会できます。
事件の早期解決のためには、逮捕直後のタイミングで弁護士に依頼して、釈放活動に動いてもらうことが重要となります。

~勾留中の面会~

逮捕後に勾留決定が出た場合には、原則10日間(最長20日間)の身柄拘束を受けます。
勾留中には「弁護士以外の人」は、原則1日1回限りで、同時に3人程度まで、15分~20分程度の一般面会ができます。
一般面会できる人に制限は無く、家族でも恋人でも友人でも一般面会は可能です。
ただし、一般面会には警察官の立会いがあり、事件に関係する話はできません。
また、証拠隠滅の防止のために「接見禁止処分」が付いているケースでは、一般面会は認められません。

他方で、弁護士の面会には、一般面会のような制限は無く、警察官の立会いも無く、たとえ接見禁止処分が付いていても弁護士の面会は認められます。

~刑務所で服役中の面会~

実刑判決を受けて刑務所で服役中の受刑者への面会は、原則として「親族(内縁の夫や妻も含まれる)」「会社関係者など」「受刑者が社会復帰するために面会すべき人」「施設が必要と認めた人」に限られます。
受刑者が面会できる回数や、手紙を出せる回数には、受刑者の優遇区分に応じた月ごとの回数制限があります。

~少年事件で観護措置中の面会~

少年鑑別所で観護措置中の少年への面会は、原則として「3親等以内の親族」「在籍中の学校の先生や、在職中の会社関係者」「鑑別所が必要と認めた人」に限られます。
他方で、弁護士であれば、面会時間の制限なども無く、少年の付添人としての面会が可能です。

~少年院送致中の面会~

少年院収容者への面会は、原則として「3親等以内の親族」「保護司」「在籍中の学校の先生や、在職中の会社関係者」「少年院が必要と認めた人」に限られます。

こうした逮捕されてしまった方には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所初回接見サービスがおすすめです。
盗撮事件逮捕された方の初回接見サービスの依頼を受けた弁護士は、直ちに警察署へ向かい、逮捕された人から直接に事件の経緯を聞いた上で、早期釈放や刑罰軽減に向けた今後の弁護活動を検討して、逮捕された人やその家族の方に事件対応のアドバイスを行います。
兵庫県川西市盗撮事件やその逮捕でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

下着を写していなくても盗撮

2019-10-26

下着を写していなくても盗撮

下着を写していない盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~
Aさんは、大阪市南区内の駅において、前を歩く女性Vに接近し、Vと100センチメートルほどの距離において、Vの臀部を強調する写真を撮影してしまいました。
Vはスカートを着用していましたが、スカートの中は写っていませんでした。
盗撮行為を警戒していた大阪府警の鉄道警察隊から職務質問を受け、Aさんが上記の盗撮を認めると、大阪府迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
大阪府南警察署に留置されたAさんは、家族が依頼した弁護士に接見し、今後について相談しました。
(最高裁平成20年11月10日決定を基にしたフィクションです)

~下着が写っていなくても犯罪にあたるのか?~

盗撮の典型的な手口の1つとしてあげられるのは、女性のスカートの下にカメラを構え、スカート内の下着を撮影するといった手口です。
しかしながら、Aさんはスカートの中を盗撮したのではなく、Vから100センチメートルほど離れて、Vの臀部を撮影したにすぎません。
このような場合であっても、罪に問われるのでしょうか。

大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第6条1項4号は、
①人に対し、
②公共の場所又は公共の乗物において、
③人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような
④卑わいな言動をすること
を禁止しています。

卑わいな言動」とは何を意味するのでしょうか。
最高裁平成20年11月10日決定によると、「卑わいな言動」とは、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作を意味します。
同決定における事件は、被告人が、ショッピングセンターにおいて、女性客に対し、その後を少なくとも約5分間、40メートル余りにわたって付けねらい、背後の約1ないし3mの距離から、右手に所持したデジタルカメラ機能付きの携帯電話を自己の腰部付近まで下げて、細身のズボンを着用した同女の臀部を同カメラでねらい、約11回撮影したというものでした。
これに対し、同決定は、「被告人の本件撮影行為は、被害者がこれに気付いておらず、また、被害者の着用したズボンの上からされたものであったとしても、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり、これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ、被害者に不安を覚えさせるものといえる」とし、被告人の有罪を認めました。

今回のAさんのケースの場合はどうでしょうか。
駅は、「公共の場所」に該当します。
そして、Vの臀部をスカート越しに強調する写真を、Vから100センチメートルほどの距離において撮影する行為は、上記決定に照らすと、これだけでは当然に「卑わいな言動」に該当するとまでは言い切れません。
しかし、Aさんの盗撮行為の態様が長時間Vを付け狙ったり、何度も撮影していた、といったものであれば、「卑わいな言動」に当たる可能性があると考えられます。
上記の行為が行われ、Vがこれを知った場合、Vを著しく羞恥させ、又はVに不安を覚えさせるものと考えられるので、Aさんに大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。

~身柄解放活動、示談交渉を弁護士に依頼~

逮捕され、勾留されると、最長23日間もの間身体拘束を受けることになります。
23日間もの間、会社や学校を無断欠勤、欠席すると、会社を解雇されたり、学校を留年するおそれが極めて高くなります。
そのため、一刻も早く留置場や拘置所の外に出て、今まで通り出勤、登校することが重要になります。
逮捕された後も、勾留がつかなければ釈放されるので、弁護士は検察官や裁判官に対し、勾留の要件を満たさないことを主張し、勾留決定を回避する活動を行います。
勾留されてしまった場合は、勾留の取消などを求め、不服申し立てを行うことができます(準抗告)。

また、Vと示談を行うことも重要です。
示談が成立すると、当事者間で事件が解決したものと判断され、釈放される可能性が高まります。
また、捜査の最終段階において、検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを検討するのですが、その際に、示談が成立していることがAさんにとって有利な事情として考慮されることが期待できます。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることがないので、前科が付かずにすみます。
また、示談が成立していることにより、後日、Vから損害賠償請求を受けるリスクを無くすことができます。
まずは、接見にやってきた弁護士から助言を受け、有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が盗撮事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

盗撮で逮捕された場合に呼ぶことができる弁護士

2019-10-21

盗撮で逮捕された場合に呼ぶことができる弁護士

盗撮での逮捕とその際に呼ぶことのできる弁護士について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~
Aさんは、さいたま市浦和区内の駅構内の上り階段において、前を歩いている女性Vのスカート内を盗撮しようと思い、スマートフォンのカメラを向け、これを盗撮しました。
しかし、埼玉県警の鉄道警察隊がその上り階段付近における盗撮を警戒しており、Aさんの盗撮行為は鉄道警察隊に現認されていました。
Aさんは階段を上りきったところで警察官から職務質問を受け、盗撮を認めると、埼玉県迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~駅の上り階段で盗撮…何罪?~

Aさんには、埼玉県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が極めて高いと思われます。

埼玉県迷惑行為防止条例第2条第4項によると、「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。」とされています。
駅構内は公共の場所であると考えられますし、そこでスカートの中を盗撮することはまさに「衣服で隠されている下着等を無断で撮影する」ことでしょう。
こうしたことから、Aさんは埼玉県迷惑行為防止条例違反となると考えられるのです。

なお、埼玉県では「衣服で隠されている下着等を無断で撮影する」といった行為を例にとり、「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動」が禁止されているため、たとえ盗撮ができておらず、盗撮目的でカメラをスカートに差し入れるなどの行為をしただけであっても「卑わいな言動」であるとして埼玉県迷惑行為防止条例違反となる可能性もあることに注意が必要です。
上記の規定に違反し、有罪判決を受ける場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。

~盗撮で逮捕された後はどうなるのか?~

盗撮事件に限らず、刑事事件で逮捕されると警察署に引致された後、取調べを受けることになります。
取調べでは、犯行当時の行動、盗撮をした動機、同種余罪の有無について尋ねられると思われます。
また、今回のケースであれば、盗撮に使用したスマートフォンは押収され、中の画像データも調べられることになるでしょう。
捜査の結果、埼玉県内で常習として同様の盗撮行為を行っていたものと判断された場合、埼玉県迷惑行為防止条例第12条第4項により、法定刑が1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となり、より重くなることもありえます。

~盗撮事件の取調べが終わった後はどうなるか?~

逮捕後に釈放されず、留置の必要があると認められると、留置場に入らなければならず、帰宅することができません。
Aさんが不合理な弁解をしたり、あるいはAさんの余罪について強い嫌疑が存在する場合、釈放される可能性は低くなります。
この場合、警察は逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致します。

送致を受けた検察官は、Aさんの身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかを決めなければなりません。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留が延長されます。
Aさんが勾留されている場合、検察官は勾留の満期日までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めることになります。

~一刻も早い接見を行い、弁護士のアドバイスを受ける~

Aさんには、以下の弁護士から助言を受けることができます。

(当番弁護士)
逮捕された場合に、初回の1回だけ、無料で接見にやってくる弁護士です。
取調べの対応方法、今後進行する刑事手続について助言を受けられます。
ただし、2回目以降の接見、身柄解放活動などの弁護活動については、後述の私選弁護人として当番弁護士を選任しない限り弁護活動を依頼することはできません。

(国選弁護人)
Aさんに勾留決定が出されている場合において、貧困その他の事由により弁護人を選任することができないとき、その請求によって国が付する弁護士です。
当番弁護士と異なり、身柄解放活動などの弁護活動を行うことができます。
原則として弁護士費用はかかりませんが、執行猶予判決を受け、今まで通り勤務先で勤務できる場合などは、費用の負担を求められる場合があります。
国選弁護人のデメリットとしては、自分で弁護士を選ぶことができないため、自分と相性の合った弁護士とは限らないことがあげられます。

(私選弁護人)
被疑者の側で費用を負担し、選任する弁護士です。
弁護士も、事件解決を見込んだ弁護士費用を提示するため、熱心に活動してもらえることが期待できます。
また、国選弁護人と異なり、勾留決定が出る前から選任することができるので、勾留回避に向けた弁護活動を行うことも可能です。

どの弁護士を利用するにせよ、盗撮事件逮捕されてしまったらまずは一刻も早く弁護士と相談し、事件解決に向けてアドバイスを受けることが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が盗撮事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

駅の盗撮カメラ設置事件で略式手続を目指す

2019-10-16

駅の盗撮カメラ設置事件で略式手続を目指す

駅の盗撮カメラ設置事件略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~
Aさんは、神奈川県川崎市中原区内の駅の女子トイレに小型カメラを仕掛け、トイレの利用者の姿態を盗撮しようと考えました。
カメラを仕掛けた数日後、トイレの利用者がカメラに気付いたので、駅員に報告しました。
Aさんには、盗撮の前歴があります。
そのためか、被疑者の特定が早く、神奈川県中原警察署からAさんのもとに「お尋ねしたいことがあるので、神奈川県中原警察署の方へ出頭してください」と連絡がありました。
Aさんは、駅に盗撮カメラを設置したことが発覚したのだろうと思い当たり、対応を弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

~神奈川県内の駅で盗撮カメラをしかけると何罪?~

今回のAさんのような態様で神奈川県内において駅構内のトイレに盗撮カメラを仕掛けた場合、神奈川県迷惑行為防止条例違反の罪、建造物侵入罪が成立する可能性が高いと思われます。

神奈川県迷惑行為防止条例第3条2項は、
①何人も、
②人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で、
③住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない
としています。

Aさんのケースの場合、駅の女子トイレ利用者の姿態を撮影する目的でカメラを仕掛けている点につき、上記規定に違反する可能性が高いと思われます。
この行為によって神奈川県迷惑行為防止条例違反として有罪が確定すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

また、盗撮目的で駅のトイレに立ち入った点についても、建造物侵入罪に問われる可能性が高いと思われます(刑法第130条)。
建造物侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金となっています。

~盗撮カメラ設置事件の出頭前、なにをするべき?~

今回のケースのような盗撮カメラ設置事件に限らず、刑事事件の出頭する前には、あらかじめ弁護士と相談することをおすすめします。
取調べでは何を聞かれるのか、どのように答えたらよいのか、黙秘すべきか、それとも素直に話すべきか…などといったように、悩ましい点が多くあると思います。
弁護士からアドバイスを受けることにより、取調べへの不安を軽減させることができるかもしれません。

また、出頭した後、そのまま逮捕されてしまうのではないか、という不安もあるかと思います。
残念ながら、今回のケースの場合にも、逮捕されてしまう可能性もないとは言い切れません。
弁護士への相談では、なるべく逮捕されないようにするにはどのように供述すればよいのか、という点についても弁護士からアドバイスを受けることができます。
取調べで明らかな嘘を話したり、不合理な否認をするよりは、Aさんの知っていることを素直に供述する方が、罪証隠滅のおそれの程度からみて、逮捕される可能性は低くなると思われます。

ただし、そのように供述していても、逮捕されてしまう場合はあります。
逮捕されてしまった場合のことを踏まえて、「覚悟」を決める必要もあるでしょう。
あらかじめ、逮捕された場合に備えて、相談した弁護士を私選弁護人として選任しておくのも選択肢の一つです。
素早く弁護活動に着手することができるので、より早期に身柄解放を実現できる可能性が高くなります。

~盗撮カメラ設置事件の示談活動~

身柄の早期解放や処分の軽減を目指す弁護活動として、示談交渉があります。
実際に盗撮した場合は撮影された相手と示談しますが、カメラを設置したにとどまる場合や建造物侵入罪に問われている場合は、トイレやその建物の管理者と示談することが考えられます。

~盗撮カメラ設置事件で略式手続を目指す~

今回のケースの盗撮カメラ設置事件について、弁護活動を尽くし、検察官により不起訴処分がなされればよいのですが、Aさんに盗撮の前歴があることを考慮すると、たとえ示談したとしても、起訴される可能性も十分考えられます。

この場合には、略式手続による事件解決を目指すことが考えられます。
略式手続とは、簡易裁判所が、原則として検察官の証拠のみにより、100万円以下の罰金又は科料に相当する事件について略式命令を言い渡す手続です。
略式手続となった場合、正式裁判(公開されている法廷での裁判)によらず、罰金を納付することで迅速に事件を解決することができます。
略式手続では、勾留されている場合には、罰金等を納付することにより釈放され、在宅で事件が進行している場合には、そのまま罰金を納付すれば事件が終了します。

ただし、略式手続では、検察官の証拠のみにより判断されることから、Aさんが何らかの異議を申し立てるチャンスがほぼありません。
そのため、略式手続に応じるかどうか、という点は、重要なポイントとなります。
弁護士略式手続のメリットとデメリットをよく相談した上で、同意書面にサインすることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
盗撮事件盗撮カメラ設置事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

高校教員による校内での盗撮事件

2019-10-11

高校教員による校内での盗撮事件

~ケース~
高校教員であるAさんは、東京都東大和市内の公立高等学校の教員です。
Aさんは校内の女子トイレの個室内を盗撮しようと考え、カメラを用意し、これを女子トイレの更衣室に設置しました。
ある日、トイレの利用者がカメラに気付き、校内は大騒ぎになりました。
Aさんは罪悪感から、自らカメラを設置したことを打ち明けました。
通報を受け、校内に警視庁東大和警察署の警察官が臨場し設置されていたカメラを調べると、トイレの利用者がスカートを降ろし、トイレを利用している様子が写っていました。
Aさんは現在、警視庁東大和警察署で取調べを受けている状況ですが、今後自分がどうなるのか不安でいます。
(フィクションです)

~高校の女子トイレにカメラを設置するとどのような罪になるか?~

今回のAさんの行為には、東京都迷惑行為防止条例違反児童ポルノ製造罪建造物侵入罪が成立する可能性があります。

(東京都迷惑行為防止条例違反)
東京都迷惑防止条例のうち、Aさんに適用される可能性のある規定を以下、抜粋します。

第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる
ような場所

これに違反し、有罪か確定すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(同条例第8条2項1号)。

Aさんの勤務する高校の女子トイレは、当然、上記イの「便所」に該当します。
同条例によれば、トイレの利用者を写さなくても、写真機その他の機器を「差し向け」、あるいは「設置」した段階で罪になります。
Aさんはすでにトイレの利用者を写してしまっていますが、トイレにカメラを仕掛けた段階で、すでに東京都迷惑行為防止条例に違反している、ということになります。

(児童ポルノ製造罪)
上記の条例違反とは別に、トイレの利用者が高校の生徒であった場合、児童ポルノ製造罪が成立する可能性があります。
「児童」とは、18歳未満の者をいいます。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条5項は、「ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造」する行為につき、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処するとしています。

高校のトイレで盗撮をすると、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」を描写する可能性があります。
上記の写真やデータの記録媒体等は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条3項3号により、「児童ポルノ」に該当します。

反対に、18歳以上の者が撮影されていたトイレの利用者であった場合、児童ポルノ製造罪が成立することはありません。

(建造物侵入罪)
正当な理由がないのに、人の看守する建造物に侵入する犯罪です(刑法第130条前段)。
高校の女子トイレは「人の看守する建造物」に該当すると考えられます。
Aさんとは別に高校の管理権者がいる場合、その高校の管理権者は、盗撮目的でAさんが高校の女子トイレに立ち入ることを容認していないと考えられるので、Aさんの建造物侵入罪が成立する可能性が出てくるのです。
建造物侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金となっています。

~盗撮の被害者・建造物侵入罪の被害者と示談~

実際に盗撮されてしまった被害者や、建造物侵入行為をされてしまった学校の管理者と示談をすることにより、東京都迷惑行為防止条例違反や、児童ポルノ製造罪建造物侵入罪につき、より有利な処分(不起訴処分やより軽い量刑による判決)を得られる可能性が高まります。
ただし、学校の管理権者は、公共施設の管理者としての立場があるので、示談に応じない可能性が高いと思われます。
盗撮の被害者との示談交渉の場合にもいえますが、相手方が示談交渉に応じなければ、示談を成立させることはできません。
まずは、示談交渉のプロである弁護士と相談し、示談交渉の見込みについてアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、盗撮事件の解決実績も豊富です。
盗撮事件を起こしてしまいお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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