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【報道解説】盗撮のために建物を破壊して建造物損壊で逮捕
【報道解説】盗撮のために建物を破壊して建造物損壊で逮捕
アパートの隣の部屋に住む女性の風呂場の天井に盗撮のために、隣の部屋との間にある仕切りを破壊したとして建造物損壊の疑いで逮捕された盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例紹介】
「東京都内にあるアパートの一室に住むAさんは、自分の隣に住むVさんのことが気になり、Vさんの裸を盗撮しようと考えました。
そこで、Aさんは、自室の風呂場の点検口から屋根裏に上り、隣の部屋にある仕切りを破壊して、Vさんの部屋の風呂場の天井まで移動して、天井に穴を開けて盗撮用のカメラを設置して、Vさんの入浴中の様子を盗撮しました。
Aさんは、その後、自宅に来た警察官に建造物損壊の疑いで逮捕されました。」
(令和5年4月26日にテレ朝NEWSの報道を元に事実を変更したフィクションです)
【隣の部屋の浴室を盗撮する罪】
他人が住む部屋の浴室にカメラを設置して、裸の姿を盗撮する行為は、各都道府県が定める迷惑行為防止条例に違反する可能性が高いです。
事例のように、東京都にあるアパートで隣人の浴室を盗撮する行為は、東京都迷惑行為防止条例5条1項2号イに違反する可能性があります。
東京都迷惑行為防止条例(盗撮)に違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
【盗撮のため侵入・建物一部破壊の罪】
このように、盗撮行為それ自体が刑事罰の対象になる行為ですが、盗撮行為をするためにアパートの隣の部屋に入る行為も、住居侵入罪あるいは建造物侵入罪(刑法130条前段)として刑事罰の対象になる可能性があります。
仮に、住居侵入罪や建造物侵入罪で起訴されて有罪となってしまうと、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、事例のAさんのように、盗撮するために隣の部屋に入るにあたって、他人の建物の一部を破壊してしまうと刑法260条の建造物損壊に当たる可能性もあります。
モノを壊した場合は、刑法261条の器物損壊罪になるのではないかと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、壊したモノが「他人の建造物」である場合には、器物損壊罪ではなく建造物損壊罪が成立することになります。
建造物損壊罪の法定刑は、器物損壊罪の法定刑である3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料よりも重くなっており、5年以下の懲役となっています。
このように建造物損壊罪の法定刑には罰金刑が定められていませんので、器物損壊の事件よりも、事態はより深刻であるとあると言えるでしょう。
【盗撮事件でお困りの方は】
盗撮事件で警察の捜査を受けてお困りの方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
一口に盗撮事件と言っても、盗撮を行うために他の犯罪に触れる行為をしている場合も考えられますので、まずは、弁護士に盗撮事件についてしっかりとご相談されることで、ご自身がどのような罪に問われる可能性があるのかといったことや、事件の見通しや、今後の流れはどのようになるのかといったについて、弁護士からアドバイスをもらうことが非常に有益になるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
盗撮事件で警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】公園体育館のトイレ盗撮常習事件で逮捕
【報道解説】公園体育館のトイレ盗撮常習事件で逮捕
盗撮常習犯の刑事処罰と弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
京都府亀岡警察署は、令和5年2月16日に、京都府迷惑行為防止条例(常習盗撮)などの疑いで、大阪府池田市の会社員の男性(40歳)を逮捕した。
逮捕容疑は、昨年2月17日~8月27日に、京都府亀岡市の亀岡運動公園体育館で女性用トイレに侵入し、個室内にいた兵庫県尼崎市の女子中学生(14歳)ら計16人の動画をスマートフォンのカメラで撮影した疑い。
亀岡警察署によると、押収したスマホ3台から、延べ145人の動画が見つかっているという。
(令和5年2月16日に配信された「京都新聞」より抜粋)
【盗撮常習犯の刑事処罰とは】
トイレ内やスカート内を隠れて撮影するなどの、盗撮行為をした場合には、各都道府県の制定する「迷惑防止条例」に違反するとして、刑事処罰を受けます。
「迷惑防止条例」では、盗撮を繰り返す常習犯に対して、通常の盗撮罪よりも、さらに重い刑罰が規定されています。
「盗撮の常習性」を判断する際には、前科前歴や、事件の犯行態様、余罪の存在など、容疑者に関する複数の事情が考慮されますが、前科前歴の回数や、直近の前科前歴が何年前であったかといった事情が、特に重視されると考えられます。
例えば、京都府の迷惑防止条例違反の事案であれば、通常の盗撮罪の法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされており、他方で、常習盗撮罪の法定刑は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と刑罰が重くなっています。
また、トイレに不法侵入して行った盗撮事件の場合には、建物の管理権者の許可無しに女性用トイレに侵入したとして、刑法の「建造物侵入罪」に問われる可能性も考えられます。
「建造物侵入罪」の法定刑は、「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」とされています。
【盗撮常習犯の弁護活動】
盗撮常習事件を起こした場合には、まずは弁護士と法律相談をすることで、警察取調べに対して、事件当時の状況を、どのように供述していくかの弁護方針を、弁護士とともに綿密に検討することが重要となります。
盗撮事件では、被害者に対する謝罪や慰謝料支払いの意思を、弁護士を仲介して被害者に伝えることで、被害者側の許しを得られるように示談交渉を行うことも、刑事処罰の軽減のために必要な弁護活動となります。
また、盗撮常習者の再犯を防止するために、適切な病院カウンセリング等を行うなど、今後の再発防止に向けた取り組みを行うことが、刑事処罰の軽減に結び付くケースも考えられます。
まずは、トイレ盗撮常習事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。
トイレ盗撮常習事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
【報道解説】風俗店で働く女性を盗撮
【報道解説】風俗嬢に撮影機を設置して盗撮し逮捕
風俗店で働く女性を盗撮して迷惑行為防止条例違反で逮捕された刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「北海道迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、神奈川県茅ヶ崎市に住む63歳の会社員の男です。
この男は7日、札幌市中央区のホテルで、風俗店の女性を呼び、性的サービスを依頼した部屋に、隠しカメラを設置し、盗撮しようとした疑いが持たれています。
警察によりますと、男は旅行中で、隠しカメラは置時計に仕込まれたものでした。
気づいた女性が店の上司に連絡、上司からの連絡で駆け付けた警察官が男の身柄を確保し、調べをすすめた結果、容疑が固まったとして、7日夜、男を逮捕しました。」
(令和5年2月8日にHBC北海道放送で配信された報道より一部抜粋して引用)
【実際に盗撮していなくても罪に問われる場合がある!】
盗撮行為は、各都道府県が規定する迷惑行為防止条例によって罰則の対象になっていますが、実際に盗撮した段階のみを罰則の対象にしているのではなく、盗撮をまだしていない段階でも罰則の対象にしています。
例えば、北海道迷惑行為防止条例2条の2第4号では、「公共の場所若しくは公共の乗物若しくは集会場等にいる」人の衣服等で覆われている身体や下着を撮影するために撮影器機(「写真機等」)を設置する行為や、「住居、浴場、便所、更衣室その他の人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」において衣服の全部又は一部を着けない状態の人の姿を撮影するために撮影器機を設置する行為を禁止しています。
このように北海道迷惑行為防止条例2条の2第4号では、実際に盗撮をしていなくても、盗撮の準備段階として、盗撮のために撮影器機を設置した行為を罰則の対象にしています。
そして、北海道迷惑行為防止条例2条の2第4号に違反して撮影器機を設置すると、北海道迷惑行為防止条例11条1項によって、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。
【常習的に盗撮していた場合は?】
引用した報道にも記載がありますように、盗撮事件で警察が捜査を開始している場合、警察は、盗撮に用いた撮影器機や、メモリーカードやハードディスクといった記録媒体を押収して、他にも盗撮していないかということについて捜査が進められる場合が多いです。
捜査の結果、常習的に盗撮していたと判断された場合は、北海道迷惑行為防止条例11条2項によって1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。
【ご家族が風俗嬢を盗撮て逮捕されたら】
ご家族が風俗嬢を盗撮したとして警察に逮捕されたという場合は、いちはやく弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
この初回接見では、事件の見通しや今後の手続きの流れ、弁護士が行うことができる刑事弁護活動はどういったものがあるか知ることができるでしょう。
逮捕直後の弁護活動としては、逮捕されたご家族の身柄解放に向けた弁護活動がまずは重要になります。
逮捕された後に勾留が決まってしまうと長期間にわたって身柄が警察署に拘束されてしまい、現在のお仕事に悪い影響が出てしまう可能性がありますので、そうした社会生活への影響を最小限にとどめるためには、逮捕直後にいちはやく弁護士が事件に介入して、逮捕されたご家族の身柄解放に向けた弁護活動をとることが非常に重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が風俗嬢を盗撮した疑いで警察に逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】落とし物をきっかけに盗撮事件に発展
【報道解説】落とし物をきっかけに盗撮事件に発展
【報道紹介】
盗撮データが記録されたメモリーカードが落とし物として警察に届けられたことがきっかけに、盗撮の疑いで警察に逮捕された刑事事件例ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
「茨城県警神栖署と県警少年課は23日、千葉県木更津市、教諭の男(36)を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)と千葉県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の疑いで逮捕した。
被疑者は容疑を認めている。
発表によると、男は2021年8月頃、千葉県内の施設で、18歳未満を含む女性3人の着替えを盗撮した疑い。
昨年11月、同署に動画が撮影されたメモリーカード1枚が拾得物として届けられて発覚した。」
(令和5年1月24日に読売新聞オンラインで配信された報道より引用)
【落とし物から盗撮が発覚し刑事事件に】
今回取り上げた事件では、警察が落とし物として届けられたメモリーカードの中身を確認したところ、メモリーカードの中身に盗撮した動画が記録されていたことから、刑事事件へと発展したケースです。
盗撮行為は、各都道府県が定める迷惑行為防止条例によって罰則の対象になっています。
取り上げた報道の男性がどこで盗撮行為をした疑いがあるかについては報道からでは明らかではありませんが、仮に、千葉県内にある施設の更衣室で女性の着替えを盗撮したということであれば、そのような盗撮行為は千葉県迷惑行為防止条例3条の2第1号イに当たることになり、同条例13条の2第1項1号によって6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、盗撮した動画の中に服を着用していない18歳未満の児童の様子が写っていた場合は、そのような裸の児童の姿は児童買春・児童ポルノ規制法2条3項3号が規定する「児童ポルノ」に当たる可能性がありますので、盗撮によって児童ポルノを製造したとして、児童買春・児童ポルノ規制法7条5項によって、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
【盗撮事件で警察の捜査を受けたら】
盗撮事件で警察の捜査を受けてお困りの方や、盗撮事件について前科が付くことを避けたいとお考えの方は、まずは弁護士に相談して、事件の見通しや今後の刑事手続の流れ、弁護士に刑事弁護活動を依頼することのメリットなどについて説明を受けられることをお勧めします。
盗撮事件のように、被害者が存在する事件の場合は、弁護士が警察などの捜査機関から開示された被害者の方の連絡先をもとに、被害者の方と示談交渉を進めていくことが非常に重要になると言えるでしょう。
弁護士の交渉によって、被害者の方と示談を検察官が起訴の判断をする前に締結することができれば、検察官による起訴を回避して、前科が付くことなく盗撮事件を解決することも可能な場合があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
盗撮事件で警察の捜査を受けてお困りの方や盗撮事件で被害者の方との示談をお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】小学校トイレ盗撮事件で逮捕
【報道解説】小学校トイレ盗撮事件で逮捕
滋賀県大津市の小学校トイレにおける盗撮による児童ポルノ製造罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
大津市立小学校の女子トイレで盗撮したとして、滋賀県大津警察署は令和5年1月10日に、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)などの疑いで、大阪府東大阪市の会社員の男性(34歳)を逮捕した。
逮捕容疑は、令和3年10月4日早朝に市立小学校に侵入し、女子トイレの個室内に小型カメラを設置して女子児童を撮影し、同日夜にカメラを回収する目的で、再び同小学校に侵入した疑い。
大津市教育委員会によると、同日昼ごろに清掃員が女子トイレでカメラを見つけて撤去し、学校が大津警察署に被害届を出していた。
(令和5年1月10日に配信された「京都新聞」より抜粋)
【盗撮による児童ポルノ製造罪とは】
盗撮行為をして逮捕された場合には、一般的なケースでは、各都道府県の条例に規定がある「迷惑防止条例の盗撮罪」に当たるとして、刑事処罰を受けることが多いです。
「迷惑防止条例の盗撮罪」による刑罰の法定刑は、その都道府県の条例規定にもよりますが、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」や「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と規定されています。
他方で、盗撮行為により、18歳未満の児童のわいせつ盗撮画像等を製造した場合には、「児童ポルノ製造罪」が成立する可能性が考えられます。
「児童ポルノ製造罪」の刑罰の法定刑は、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」とされています。
・児童ポルノ禁止法 7条5項
「前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。」
1個の盗撮行為が、「迷惑防止条例違反」と「児童ポルノ禁止法違反」などの2個以上の法律に違反する場合には、そのうち、最も法定刑の重い刑により処罰されると考えられます。
【児童ポルノ製造罪の弁護活動】
盗撮行為を行って逮捕された場合には、逮捕初期の段階で、弁護士との接見(弁護士面会)を依頼することで、その後の警察取調べ対応について、弁護士と綿密な打合せを行い、事件の具体的な内容を、どのように捜査機関に対して供述していくかの、弁護方針を立てることが重要となります。
また、盗撮事件は、被害者のいる犯罪となるため、弁護士の側より、被害者やその保護者との示談交渉を働きかけて、謝罪や慰謝料支払いの意思を被害者側に伝えて、被害者の許しを得られるような示談成立を目指すことが、刑事処罰の軽減に大きく影響すると考えられます。
まずは、盗撮事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。
滋賀県大津市のトイレ盗撮事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
【報道解説】女児のスカートを盗撮して逮捕
【報道解説】女児のスカートを盗撮して逮捕
ショッピングモールで7歳の女児のスカートのなかを盗撮したとして、迷惑行為防止違反の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「福岡県直方市のショッピングモールで23日午後、小学生の女の子のスカートにスマートフォンのカメラを差し入れたとして、自称・大学生の男が現行犯逮捕されました。
盗撮の疑いで逮捕されたのは、福岡県苅田町の自称大学生・A容疑者(22)です。
警察によりますと、A容疑者は23日午後2時45分ごろ、福岡県直方市のショッピングモールでゲームセンターの前で立ち止まっていた7歳の小学生の女の子の背後に立ち、スマートフォンのカメラをスカートの下に差し入れて盗撮した疑いです。
女の子の近くにいた女性がA容疑者の不審な動きに気づき、声をかけて発覚したということです。
A容疑者は警察の調べに対し、『間違いない』と容疑を認めています。」
(令和4年11月23日にFBS福岡放送で配信された報道より一部匿名にして引用)
【盗撮の罪―福岡県の場合】
盗撮行為については各都道府県が定める迷惑行為防止条例によって禁止されていますので、刑事罰の対象となる盗撮行為の条件や、盗撮行為をした場合にどのような刑事罰が科されるのかということは、各都道府県の迷惑行為防止条例によって異なる場合があります。
今回取り上げた報道は福岡県で起きた盗撮事件に関するものです。
福岡県迷惑行為防止条例6条2項1号では、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着を写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(写真機等)でを用いて撮影することを禁止しています。
取り上げた報道で逮捕された男性は、ショッピングモールにおいて背後から小学生の女児のスカートの下にスマートフォンを差し入れたということです。
これは、「公共の場所」または「その他の公衆の目に触れるような場所」において、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で「他人が着用している下着」を「写真機等」で撮影したと考えられますので、福岡県迷惑行為防止条例6条2項1号に違反した可能性があります。
ちなみに福岡県迷惑行為防止条例6条2項1号に違反して盗撮行為を行うと、同条例11条1項によって1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
仮に、盗撮行為を常習的に行っていた場合には刑が重くなって、福岡県迷惑行為防止条例12条1項により、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
【盗撮から余罪の発覚へ】
盗撮事件で一度警察の捜査が始まると、警察は盗撮に使用していたスマートフォンや小型カメラ、盗撮した画像や動画が保存されている可能性があるSDカードや外付けのハードディスクといったものを押収して、余罪がないかについての捜査が行われる場合が多いです。
余罪の捜査の結果、常習的に盗撮していた場合には先ほども説明したように単なる盗撮よりも重い刑罰が科される可能性がありますし、また盗撮とは別の犯罪が成立する可能性もあります。
たとえば、押収した盗撮画像の中に、他人の家の中に入り込んで盗撮したものがあれば刑法130条の住居侵入罪が成立する可能性がありますし、「児童ポルノ」に該当する画像を盗撮によって製造していた場合には児童ポルノ製造罪が成立する可能性があります。
住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金で、児童ポルノ製造罪の法定刑は3年以下の懲役又は300百万円以下の罰金(児童買春・児童ポルノ禁止法7条5項)となっていています。
もし盗撮以外の余罪についても立件されることになると、単なる盗撮事件の場合よりも罪が重くなることになりますので、盗撮について警察の捜査の対象になっている方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士に相談することで、余罪の立件可能性といった盗撮事件の見通しや弁護士に刑事弁護活動を依頼することのメリット等を知ることができるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
盗撮について警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
【報道解説】電車内でスマートフォンを床に置く盗撮で逮捕
【報道解説】電車内でスマートフォンを床に置く盗撮で逮捕
走行中の電車内でスマートフォンを床に置いたとして盗撮(迷惑行為防止条例違反)の疑いで逮捕された刑事事件報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「電車内で女子中学生を盗撮したとして、兵庫県警西宮署は21日、県迷惑防止条例違反の疑いで、伊丹市のアルバイトの男(29)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は同日午後8時20分ごろ、阪急電鉄夙川-甲陽園間の普通電車内で、スマートフォンを床に置き、ドア付近に立っていた中学3年の女子生徒のスカート内を動画撮影した疑い。
男は『スカートの中を盗撮したことに間違いありません』と容疑を認めているという。
同署によると、男はドアを背にしゃがみ込み、スマートフォンを床に置いていた。
乗客の男性が不審に思い、甲陽園駅で男を駅員に引き渡したという。」
(令和4年11月22日に神戸新聞NEXTで配信された報道より引用)
【電車内でスカートの中を盗撮するためにスマートフォンを設置すると何罪になる?】
今回取り上げた報道は、兵庫県で起きた盗撮事件です。
盗撮については刑法で「盗撮罪」に該当する法令が定められていませんので、各都道府県が定める迷惑行為防止条例によって処罰されます。
兵庫県迷惑防止条例(正式には「兵庫県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」)第3条の2第1項では、「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。」と規定し、その第2号において「正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為」と規定しています。
そのため、取り上げた報道のように「公共の乗物」である電車内において、スカートの中という「人の通常衣服で隠されている…下着」を撮影するために、スマートフォンという「写真機等」を床に設置する行為は、兵庫県迷惑行使防止条例第3条の2第1項2号に違反する行為になると考えられます。
兵庫県迷惑行為防止条例第3条の2第1項2号に違反した場合は、同条例15条1項によって、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また、捜査の結果、常習的に盗撮行為を行い兵庫県迷惑行為防止条例第3条の2第1項2号に違反していた場合は、同条例15条2項によって、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
【突然、家族と連絡がつかなくなったら・・・】
電車内の盗撮で現行犯逮捕されたという場合は、逮捕された家族と連絡が取れなくなります。
そのため心配になった家族が捜索願を出すといった対応を取るために近くの警察に相談した結果、警察から「逮捕されている」と教えてもらったことで家族が逮捕されたことを初めて知ったという場合があり得ます。
このような経緯で家族が逮捕されているか知った場合、まずは弁護士に依頼して、弁護士に初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
また、逮捕されたかどうかは明確に教えてもらえず、警察から「詳しくは言えないが、元気にしているので安心してください」などと回答された場合も警察に逮捕されている可能性が少なくありませんので、こうした場合も弁護士に初回接見に行ってもらうことを依頼されるのが良いでしょう。
この初回接見によって、弁護士が事件について詳しく逮捕された本人からお話を伺うことができますので、事件の見通しや事件が今後どのような手続きで処理されていくのかということを接見に向かった弁護士から説明を受けることができますので、逮捕された本人はもちろん、ご家族様の不安なお気持ちを和らげることが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が電車内で盗撮したとして警察に逮捕されてお困りの方や、ご家族と突然連絡が取れなくなってご不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】住居侵入事件から盗撮の余罪発覚
【報道解説】住居侵入事件から盗撮の余罪発覚
住居侵入罪で逮捕され、盗撮の余罪が複数発見された場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「警視庁の警察官が、住居侵入罪の疑いで逮捕された事件で、持っていたスマートフォンから入浴中の女性を盗撮した動画が見つかっていたことが、新たにわかりました。
警視庁の巡査長・A容疑者(36)は、今月14日、相模原市で住宅の敷地内に侵入した疑いがもたれています。
その後の警察への取材で、A容疑者のスマートフォンから事件当日、侵入した敷地の隣にある住宅の風呂場で女性が入浴する様子を盗撮した動画が見つかっていたことが、新たにわかりました。
A容疑者のスマホからは、他にも入浴中の女性を盗撮した複数の動画が見つかっていて、警察は余罪を調べています。
(令和4年11月18日にTBSNEWSDIGで配信された報道より一部匿名にして引用)
【住居侵入罪で逮捕された後で盗撮の余罪が発覚することがある】
今回取り上げた報道では、A容疑者は住居侵入罪の疑いで逮捕されています。
住居侵入罪は、刑法130条に規定されている犯罪で、他人の家に正当な理由なく立ち入ることで成立します。
住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金となっています。
住居侵入罪という犯罪は、窃盗などの他の犯罪を行うための手段としてなされる場合が非常に多いです。
そのため、住居侵入罪の疑いで逮捕された場合は、当然警察はその後の捜査で被疑者が何のために他人の家に入り込んだのかということを捜査することになります。
逮捕後の取り調べで被疑者が「盗撮目的で入りました」と供述した場合や、逮捕した瞬間に被疑者が小型カメラを持っていた場合、被疑者のスマートフォンの中に盗撮したと思われる画像や動画が残っていた場合などには、警察は盗撮についても捜査することになると考えられます。
取り上げた報道では、住居侵入罪の疑いで逮捕した男性のスマートフォンから盗撮したと思われる動画が複数見つかっているとのことですので、盗撮についても立件のために捜査がさらに進んでいくものと思われます。
【住居侵入罪と盗撮の両方が成立した場合はどのような刑になる?】
盗撮は各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反となる行為ですが、仮に住居侵入罪と盗撮(迷惑行為防止条例違反)の2つが立件された場合には、盗撮行為の目的で住居侵入という犯罪を犯したことになるので、住居侵入罪と盗撮は刑法54条1項後段に規定されている牽連犯(「けんれんはん」または「けんれんぱん」)の関係になると考えられます。
牽連犯となった場合、住居侵入罪と盗撮のうち「その最も重い刑により処断」されることになります。
住居侵入罪の法定刑は、先ほども説明したとおり3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
盗撮による迷惑行為防止条例違反の法定刑は各都道府県によって様々ですが、神奈川県の場合は、神奈川県迷惑行為防止条例15条1項によって1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっていて、常習的に盗撮を行っていた場合には、同条例16条1項によって2年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。
住居侵入罪と神奈川県迷惑行為防止条例違反の法定刑を比べると、懲役刑が3年という点で住居侵入罪の法定刑の方が重いといえますので、神奈川県で他人の家に入り込んで盗撮をした場合には、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科される可能性があることになります。
【盗撮以外にも犯罪が成立するのではないかとご不安な方は】
他人の家の敷地に入り込んで盗撮した場合以外にも、例えば、駅やデパートの女子トイレに入り込んで盗撮したという場合には盗撮の他に建造物侵入罪が成立することになります。
建造物侵入罪は住居侵入罪と同じ刑法130条に規定されていますので、法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
このように自分が管理していない家や建物に侵入して盗撮をした場合には、盗撮以外の犯罪も成立することになりますので、現在、盗撮について事件の捜査を受けている方で住居侵入などの他の犯罪について立件されないか不安な方は、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士に相談することで、盗撮以外の犯罪についても立件される可能性があるか、立件された場合にどのような罪に問われる可能性があるかといった事件の見通しについてアドバイスを貰うことができるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
盗撮について警察の捜査を受けて他の犯罪についても立件されるのではないかとご不安に思っている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】高校生が複数の盗撮行為で書類送検
【報道解説】高校生が複数の盗撮行為で書類送検
17歳の高校生が18回にわたって盗撮行為を繰り返して福岡県迷惑行為防止条例違反などの疑いで書類送検された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「福岡県行橋市の17歳の高校生が、18回にわたって盗撮を繰り返していたとして、県の迷惑行為防止条例違反などの疑いで書類送検されました。
警察によりますと、少年は去年9月からことし6月にかけて、脱衣所や浴室などにいた10代から50代の7人の女性を、携帯電話で18回にわたって盗撮した疑いがもたれています。
少年はことし9月、行橋市内の住宅に侵入してゲーム機などを窃盗した疑いで逮捕され、押収した携帯電話の映像などから盗撮が発覚しました。
少年は『性的欲求を満たすために女性の裸が見たかった』と、容疑を認めているということです。」
(令和4年11月2日にFBS福岡放送で配信された報道より引用)
【17歳高校生が盗撮行為の罪】
盗撮行為は各都道府県が定める迷惑行為防止条例によって罰則の対象になっています。
福岡県迷惑行為防止条例6条3項1号では、「住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態を…写真機等を用いて撮影すること」を禁止しています。
これに違反すると、福岡県迷惑行為防止条例11条1項によって、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金にが科せられる可能性がありますし、常習として盗撮行為を行っていた場合には福岡県迷惑行為防止条例12条1項によって、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
また、盗撮行為を行うために、他人の住宅や他人が管理する入浴施設に立ち入った場合には、刑法130条が定める住居侵入罪や建造物侵入罪も成立して、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科せられる場合もあり得ます。
このように盗撮行為をした場合や、盗撮目的で他人の敷地に立ち入った場合は刑事罰の対象になるのですが、これは盗撮事件を起こした人の年齢が20歳以上のときの話です。
取り上げた報道のように、17歳の高校生の少年が盗撮事件を起こした場合は、刑事事件ではなく少年事件として扱われることになりますので、通常の刑事手続とは異なる手続で事件が処理されることになります。
具体的には、少年事件の場合、警察から検察へと盗撮事件が送致された後は、検察が起訴するかどうかの決定をするのではなく、検察から家庭裁判所へと盗撮事件が送られます。
そして、家庭裁判所において、盗撮事件に関する事実の調査と盗撮事件を起こした少年の性格や生い立ち、家庭環境などの調査を経た上で、家庭裁判所が少年審判という手続で最終的な少年の処遇を決定することになります。
そのため、17歳の高校生が盗撮事件を起こした場合、罰金や懲役といった刑事罰が科されることはありませんが、少年審判の結果、家庭裁判所から「少年院送致」や「保護観察」といった保護処分が下される可能性があります。
「少年院送致」は、事件を起こした少年を少年院に入所させて少年の更生のための措置をとるもので、「保護観察」は少年を少年院に入所させることはせずに保護観察官や保護司と呼ばれる人から指導・支援を受けつつ更生のための遵守事項を守りながら社会生活を送るというものです。
【高校生の盗撮事件における弁護士の役割】
高校生のお子さんが盗撮事件を起こした場合は、お子さんのサポート役として弁護士に事件の依頼をすることができます。
さきほど、20歳未満の少年が盗撮事件を起こした場合は、少年事件として通常の刑事手続とは異なる手続で盗撮事件が処理されると説明しましたが、盗撮事件が家庭裁判所に送致されるまでの警察や検察による捜査段階では、少年であっても通常の刑事事件と基本的には一緒の取扱いを受けることになります。
このような場合に弁護士に事件について依頼しておけば、捜査段階において行き過ぎた捜査が行われることが無いよう弁護士が「弁護人」としてお子さんのサポートを行うことができます。
さらに、盗撮事件が家庭裁判所に送致された後は、今度は弁護士が「付添人」として、少年の更生のために真に必要な処分を家庭裁判所の裁判官や調査官と交渉して、必要以上に厳しい処分がなされることを回避するための活動をとることができます。
少年に対する処分は、今回問題となっている盗撮行為をいつからやっているのか、被害者が何人いるのか、盗撮以外にも窃盗などの非行を行っていないか、過去に警察で補導された経験や家庭裁判所で処分を受けた経験があるかなどの様々な要素を踏まえて決定されるのですが、具体的な事実関係次第では、弁護士による交渉の結果、審判を開始しない決定(審判不開始)や審判を開始した上で少年に対して何らの処分を出さない(不処分)という決定を獲得することも不可能ではないでしょう。
お子さんの盗撮事件を弁護士に依頼することのメリットは上記以外にもあります。
弁護士がお子さんの更生のために他にどのようなサポートをすることができるか知りたい場合は、まずは弁護士にお子さんの盗撮事件について相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
高校生のお子さんが盗撮行為をしたことで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【報道解説】盗撮したSDカードを飲み込んで証拠隠滅
【報道解説】盗撮したSDカードを飲み込んで証拠隠滅
盗撮に気がつかれて盗撮したSDカードを飲み込んで証拠隠滅を図った刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「名古屋市のスーパーで小型カメラを女性のスカートの下に差し入れたとして64歳の大学生の男が逮捕されました。
愛知県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、64歳の大学生の男です。
警察によりますと、男は26日、名古屋市のスーパーで買い物に来ていた女性(34)の背後から、靴に仕込んだ小型カメラをスカートの下に差し入れた疑いです。
男の不審な動きを見ていた別の買物客が警察に通報し、駆け付けた警察官が職務質問をしたところ、男はカメラからマイクロSDカードを抜き、かみ砕いて飲み込んだということです。
警察の調べに対し、男は『間違いありません』と容疑を認めています。」
(令和4年10月27日にテレ朝NEWSで配信された報道より引用)
【スーパーマーケットでスカートの中を盗撮した場合の罪―愛知県の場合】
愛知県迷惑行為防止条例2条の2第1項1号では、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、衣服等で覆われている人の身体又は下着を撮影すること(盗撮)を禁止しています。
また、同項2号では、実際に盗撮していなくても、下着等を撮影するために、スマートフォンなどの撮影器機を衣服等で覆われている人の身体や下着に差し向ける行為も禁止しています。
取り上げた報道では、逮捕された男性は、スーパーマーケットという公共の場所において、女性のスカートの下に小型カメラを差し入れたとのことです。
報道記事に記載されている事実関係からでは、実際にスカートの中を盗撮したかどうかが明らかではありません。
ただ、前述したように、愛知県迷惑行為防止条例では、盗撮の前の段階である撮影器機を下着に差し向ける行為も禁止していますので、スーパーマーケットで女性のスカートの下に小型カメラを差し入れたのであれば、愛知県迷惑行為防止条例2条の2第1項2号に違反することになると考えられます。
このように、スカートの中を盗撮するためにスマートフォンを差し入れた場合は、愛知県迷惑行為防止条例15条1項によって、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、このようにスカートの下にスマートフォンを差し入れる行為を常習的に行っていたと判断されると、愛知県迷惑行為防止条例15条2項によって、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。
【盗撮したSDカードを飲で証拠隠滅すると】
逮捕された男性は、通報により駆け付けた警察官から職務質問を受けている最中に、カメラからマイクロSDカードを抜いてかみ砕いて飲み込んだとのことです。
仮に、かみ砕いて飲み込んだマイクロSDカードの中に盗撮のデータが入っていた場合そのようなマイクロSDカードをかみ砕いて飲み込んでしまうと、証拠隠滅罪が成立するのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、刑法104条には証拠隠滅罪を規定しています。
しかし、証拠隠滅罪が成立するためには、「他人の」刑事事件の証拠を隠滅する必要がありますので、「自分の」刑事事件の証拠を隠滅した場合は、証拠隠滅罪は成立しないことになります。
なぜ、自分の刑事事件に関する証拠を自分で隠滅した場合には証拠隠滅罪が成立しないかというと、犯人が自分の犯罪の証拠を隠滅しないように犯人自身に期待することがおよそ困難であると考えられているからです。
そのため、今回逮捕された男性が、かみ砕いて飲み込んだSDカードの中に盗撮のデータが入っていた場合、男性は自分の刑事事件の証拠を隠滅したことになると考えられますので、証拠隠滅罪は成立しないといえるでしょう。
もっとも、犯人が、自分の刑事事件に関する証拠を第三者に隠滅するよう依頼して、第三者が証拠を隠滅した場合は、証拠を隠滅した第三者には証拠隠滅罪が成立しますし、証拠隠滅を依頼した犯人にも証拠隠滅罪の教唆犯(刑法61条1項)が成立することになります。
なお、証拠隠滅罪の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。
【家族が盗撮に逮捕されたら】
警察から、ご家族の方を盗撮の疑いで逮捕したという連絡を受けた場合、まずは弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
この初回接見によって、弁護士が警察の留置場に留置されているご家族の元に面会して、逮捕されたご家族から直接事件についてお話を伺うことができますので、事件の概要や今後の見通しについて知ることができます。
また、逮捕されたご家族の方に、今後の手続きの流れについての説明や取調べでのアドバイスを行い、刑事事件の見通しをお伝えすることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が盗撮の疑いで警察に逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。