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女子トイレ盗撮事件を弁護士が示談解決

2020-04-03

女子トイレ盗撮事件を弁護士が示談解決

盗撮事件の示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
京都府京田辺市在住のAさん(20代男性)は、ショッピングモールの女子トイレ内に、盗撮カメラを設置したところ、被害者女性が盗撮カメラを発見して、警察に通報した。
防犯カメラの映像をもとにAさんに盗撮カメラ設置の容疑がかかり、Aさんは京都府田辺警察署から取調べの呼び出しを受けた。
Aさんは、取調べに行く前に、刑事事件に強い弁護士に法律相談して、どのように取調べ対応するかについて、事前に弁護士と打ち合わせをした。
警察取調べにおいて、被害者女性が警察に被害届を出していると聞いたAさんは、弁護士が被害者女性と示談交渉をすることで、事件を早期に解決することを、弁護士に依頼することにした。
(事実を基にしたフィクションです)

~盗撮事件の示談交渉(起訴前)~

盗撮事件においては、各都道府県の制定する迷惑防止条例違反に当たるとして、刑事処罰を受けるケースが多いです。

迷惑防止条例違反の法定刑は都道府県によって異なりますが、盗撮常習者ではない場合については、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と規定している条例が多いです。
京都府でも「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となっています。
ただし、盗撮の前科があるなど常習者として扱われると「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります。

盗撮などの刑事事件では、警察での取調べが何度か行われて、調書作りや証拠集めが終わった後に、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるかどうか(起訴・不起訴)の判断がなされます。

検察官による起訴・不起訴の判断があるまでの間に、被害者に謝罪や賠償をして示談が成立した場合には、不起訴処分になったり、公開の裁判は開かれず簡易な手続で罰金刑にする略式起訴になったり、判決内容にプラスの効果が望めます。
特に、示談書に被害者は加害者の刑事処罰を求めない旨の文言を入れることができたり、示談成立により被害届が取り下げられれば、効果は強くなります。

ただし、盗撮事件では、被害者が加害者に恐怖心を抱いていることが通常であり、加害者と被害者の当事者同士の示談交渉は、捜査機関によって認められないケースが大半です。
そこで、弁護士を仲介させることで、弁護士だけが被害者側の連絡先を捜査機関を通じて教えてもらい、弁護士と被害者とで示談交渉を進めることが、重要となります。

盗撮事件の示談交渉の際には、加害者側が、信頼できる刑事事件に強い弁護士に示談交渉を依頼し、起訴前の早い段階で、弁護士が被害者側との示談交渉を始めることが重要となります。

~盗撮事件の示談交渉(起訴後)~

検察官が正式起訴した場合、その後に公開の裁判が行われて、実刑判決が出されて刑務所に入るか、あるいは執行猶予付きの判決が出るか、などが争われます。

起訴・不起訴の判断までの間に、被害者側との示談交渉を行わなかった事例であっても、起訴後に示談がまとまれば、加害者側に有利な事情として、刑事処罰を軽減する方向に影響することが期待されます。

~弁護士にご相談を~

このように、盗撮事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、まずは起訴前・起訴後を通じて被害者側との示談締結を目指していくことになります。

より良い事件解決に向けて、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。

逮捕されている事件では、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
 接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動をご依頼されるか決めていただけます。

また、逮捕されていない事件やすでに釈放されている場合は、事務所での無料法律相談をご利用いただけます。

お早めのご連絡をお待ちしております。

捜査官からの暴力

2020-03-29

捜査官からの暴力

今回は、勾留中の被疑者が捜査官から暴力をふるわれた場合の対処方法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは、複数の盗撮事件の被疑者として、兵庫県内の警察署の留置場勾留されています。
Aさんは黙秘権を行使しており、捜査官の問いについて何も答えていません。
捜査官は犯行を自白させようと考えていますが、Aさんが何も供述しないのでしびれを切らし、Aさんの顔面を殴打したり、膝を蹴るなどの暴行を行っています。
Aさんとしてはかなり恐怖を感じており、このまま捜査官の思うがままに供述調書をとられてしまうのではないかと危惧しています。
どうすれば良いのでしょうか。
(フィクションです)

~捜査官による暴力について~

取調室における捜査官の暴力は、被疑者に対して大変な苦痛、恐怖を与えます。
当然ながら許されるものではありません。

昔は、捜査官による暴力は日常茶飯事でしたが、最近では、取調室で暴力を振るわれた、という話を聞くことは少なくなりました。
それでも、取調室暴力を振るわれるケースがゼロというわけではありません。
捜査官から暴力を受けた場合、どうすれば良いのでしょうか。

~まずは弁護士に相談する~

こんな時にAさんを守るのは弁護士です。
弁護士との接見(面会)のときに、捜査官による暴力を訴えましょう。
その上で弁護士はどのようなことができるか、例をあげてみたいと思います。

①担当刑事に抗議する
Aさんの取調べを担当している捜査官や、その上司である捜査責任者に対し抗議をします。
場合によっては、特別公務員暴行陵虐事件として、告訴を行うことも考えられます。

②怪我の様子を撮影する
弁護士に、怪我の様子を撮影してもらい、捜査官の暴力を訴える証拠としてもらうことが考えられます。

③裁判官に証拠保全を求める
刑事訴訟法第179条には、「被告人、被疑者又は弁護人は、あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠を使用することが困難な事情があるときは、第一回の公判期日前に限り、裁判官に押収、捜索、検証、証人の尋問又は鑑定の処分を請求することができる」と定められており、この規定を用いることも考えられます。
被疑者の怪我が治る前に裁判官に見てもらい、証拠として書面に残してもらうことが目的です。

④担当検察官に抗議をする
検察官は、警察官に指示を与えて捜査を進めています。
そこで担当検察官に抗議し、(ア)警察官に注意してもらうことが考えられます。

また、(イ)勾留の場所を警察の留置場から、拘置所に変えてもらうことが考えられます。
留置場が警察の施設であるのに対し、拘置所は、法務省が管轄する施設であることから、警察官による暴力から被疑者を遠ざけることを狙うというものです。

他にも、供述調書などが、暴力によって言わされたウソの自白が書かれている可能性があると判断されてしまい、裁判で使えなくなることがありますが(証拠能力が否定されると言います)、担当検察官としてもこれを危惧しています。

弁護人は上記の問題を訴えて、(ア)や(イ)の対応をしてもらうということが考えられるわけです。

⑤裁判で証拠能力を否定する
今回のケースの場合、起訴される場合であっても、Aさんが初犯であれば、簡易な手続で罰金刑にする略式手続による裁判を打診される可能性が高いと思われます。

略式手続は公開の裁判が開かれずにすぐに手続きが終わるので、一般的には被疑者にとってもメリットがあります。
しかし、違法な取調べがなされたことを理由に、供述調書などの証拠能力を否定することができなくなります。

略式手続きを利用するには、被疑者側の同意が必要なので、あえて略式手続に同意せず、正式な裁判で証拠能力を否定する主張をすることも弁護活動の1つとして考えられます。

さらに、証拠能力が否定され、裁判にしても有罪に出来ないと検察官に判断させることができれば、そもそも不起訴処分になる可能性もあります。
不起訴処分になれば、裁判にかけられず、前科も付かずに刑事手続きが終わります。

~お早めにご相談ください~

いずれにしても、取調室における暴力は絶対に許されるべきではありません。
捜査官から暴力を受けた場合は、一刻も早く弁護士と相談し、防止策を講じてもらう必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご本人やご家族が捜査官に暴力をふるわれてお困りの方は、ぜひご相談ください。

バスでの盗撮事件で逮捕

2020-03-24

バスでの盗撮事件で逮捕

今回は、路線バスの車内で盗撮をしてしまった場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは、大阪府富田林市内を走行中の路線バスの車内で、目の前の女性Vのスカート内にスマートフォンを差し入れ、カメラ機能を用いて下着を盗撮してしまいました。
Aさんの不審な行動に気付いた乗客Wが運転手に報告したところ、AさんとVはバスを降ろされ、警察の到着を待つことになりました。
Aさんは警察が来るまでに画像データを削除しました。
大阪府富田林警察署の警察官が到着した後、バスを降ろされた場所で事情を聞かれた後、Aさんは盗撮の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~盗撮で成立する犯罪は?~

多くの場合、盗撮を行った場所の都道府県の制定する迷惑行為防止条例違反となります。

例えば大阪府の場合、①人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、②公共の場所又は公共の乗物において、③衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影することが禁止されています(大阪府迷惑行為防止条例第6条1項2号)。

他には例えば宮城県においても、①公共の場所又は公共の乗物において、②人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような、③人の下着等を撮影する行為が禁止されています(宮城県迷惑行為防止条例第3条の2第1項3号)。

法定刑は都道府県により多少差がありますが、大阪府と宮城県は共に、非常習者の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
前科があるなどの常習者の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

以上より、大阪府においても宮城県においても、同種の盗撮行為が禁止されていることがわかります。

~今後の刑事手続~

逮捕されると警察署に連れて行かれ、取調べを受けます。
その後Aさんは逮捕時から48時間以内に、検察へ送致されます。
検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aさんの勾留を請求するか、勾留せず釈放するかを決めます。

検察官が勾留請求を行い、裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められれば、最長10日間勾留が延長されることになります。

今回のケースでAさんは、スマートフォンの画像データを削除しています。
しかし、データを削除したとしても、後に警察によって復元されてしまうこともあります。

盗撮した画像を削除する行為は、証拠隠滅行為にあたりますから、これが捜査機関や裁判官にバレると、印象が悪くなります。
こうなると、勾留・勾留延長決定がなされる可能性を高めてしまい、身体拘束期間が長引いてしまうおそれがあります。

盗撮事件が発覚してしまった場合は、画像データを消去するなどせず、そのままにしておくのが賢明かと思われます。

~早期の身柄解放活動を目指す~

盗撮は立派な犯罪行為ですから、上記の様に身体拘束を受ける可能性があります。
しかし、長期間留置場拘置所で生活するのはそれ自体が大きな負担といえます。
また、その間は会社等は無断欠勤することになる可能性もあり、解雇等につながるおそれも高くなります。

早期に弁護士を依頼し、なるべく早く外に出られるよう活動してもらう必要があります。

~被害者と示談をする~

検察官は最終的にAさんを起訴するか、あるいは不起訴とするかを決めなければなりません。
それまでにVと示談ができれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられないので、前科を付けずに事件を解決することができます。
また、身体拘束が続いている場合には、示談の成立により釈放される可能性もあります。

以上のように、示談を成立させることには多くのメリットがあるといえます。
ぜひ一度弁護士にご相談いただき、より良い解決を目指していただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が盗撮事件を起こしてしまいお困りの方は、ぜひご相談ください。

民泊での盗撮で取調べ

2020-03-19

民泊での盗撮で取調べ

民泊経営者が小型カメラで利用者を盗撮したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
大阪府東大阪市内で民泊を経営するAさん。
客室や浴室などに小型カメラを設置し、利用者を盗撮していました。
ある日、利用者がカメラを発見し、警察に通報。
Aさんは大阪府枚岡警察署の警察官から取調べを受けました。
今後どうなってしまうのか、Aさんは不安になっています。
(事実をもとにしたフィクションです)

~迷惑行為防止条例違反になる?~

盗撮をした場合によく適用されることがある迷惑行為防止条例
しかし大阪府の条例は、民泊での盗撮には適用できないでしょう。

現在、大阪府の迷惑行為防止条例では、

①公共の場所又は公共の乗物
②公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所
③教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物

での盗撮を処罰の対象としています。

しかし経営者の自宅等である民泊は、①公共の場所②公衆浴場などには当たらないでしょう。
また、契約した特定少数の者しか利用しないため、③不特定又は多数の者が出入りしまたは利用するような場所にも当たらないでしょう。

したがって迷惑行為防止条例では処罰されないことになります。

~軽犯罪法や児童ポルノ禁止法では処罰されうる~

大阪府内の民泊での盗撮も、軽犯罪法での処罰は可能です。

軽犯罪法1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
23号 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

しかし、罰則として定められている拘留1日以上30日未満の身柄拘束科料1000円以上1万円未満の金銭徴収です。
迷惑行為防止条例違反の場合には1年以下の懲役または100万円以下の罰金(非常習者の場合)になるのと比べると、軽い処罰しかされません。

ただし、衣服の一部または全部を付けていない状態などを撮影された人が18歳未満の場合には、児童ポルノ禁止法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金になる可能性があります。
条例違反の場合よりも重く処罰されることになります。

今回の事例のAさんの場合、盗撮したのが18歳未満の者がいない場合には軽犯罪法違反に、18歳未満の者がいる場合には軽犯罪法違反に加えて児童ポルノ禁止法違反で処罰される可能性があるということです。

~条例改正の予定~

このように、被害者に18歳未満の者がいない場合には、軽犯罪法での軽い処罰しかできません。
そこで迷惑行為防止条例を改正し、条例での処罰を可能とすることが検討されています。

プライベート空間の盗撮にも適用 迷惑防止条例改正を検討…大阪府警
読売新聞

公共の場所や公衆浴場に限らず、住居・浴場・更衣室・便所など人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所などをすでに処罰対象にしている都道府県もあり、民泊での盗撮も処罰できます。
いずれ大阪でもこのような改正がされると思われます。

~困ったら弁護士にご相談を~

あなたやご家族が盗撮などの犯罪をした場合、どのような刑事手続が待っているのか、取調べでは何と答えたらいいのか、示談などをして処罰を軽く出来ないかなど、わからないことが多いと思います。
お困りの際は、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用を、逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。

千葉県が盗撮への罰則強化へ

2020-03-14

千葉県が盗撮への罰則強化へ

千葉県内での盗撮に対する罰則が強化されるという報道がなされました。

【参考ニュース】
盗撮の禁止場所拡大 自画撮り要求規制も 千葉県が議会提案へ
Yahoo!ニュース(千葉日報提供)

今回は、千葉県の迷惑行為防止条例が予定通り改正された場合、盗撮についてどのような罰則強化がなされるのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~公共の場所での盗撮の罰則が強化~

1つ目の改正ポイントは、駅やお店など、不特定かつ多数の人が利用する公共の場所で下着などの盗撮をした場合の罰則が強化されます。

現在は、盗撮の常習者の場合が6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に、盗撮の前科があるなどの常習者の場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金になります。

これを、盗撮の常習者の場合が1年以下の懲役または100万円以下の罰金に、常習者の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金に変える予定となっています。

常習者の罰金以外の部分が2倍になるということです。

~罰則の対象となる盗撮場所が拡大~

2つ目の改正ポイントは、千葉県の迷惑行為防止条例の規制対象となる盗撮場所が拡大されます。

現在も上述のように、不特定または多数の人が利用する公共の場所での盗撮は条例による処罰の対象となっています。
しかし、学校や職場、住居内やその中のトイレ内など、特定または少数の者が利用する場所での下着などを盗撮した場合については条例の規制対象とはなっておらず、軽犯罪法で処罰するしかありませんでした。

ところが、軽犯罪法に定められた罰則は拘留または科料です。
拘留とは、1日以上30日未満、刑事施設に収容する刑罰です。
科料とは、1000円以上1万円未満の金額を徴収する刑罰です。
どちらも公共の場所での盗撮と比べると、軽い処罰しかできません。

そこで、このような場所での盗撮も処罰対象としている条例も多くあり、今回、千葉県でも処罰対象に入れる改正がなされることになります。

盗撮する都道府県によって罰則が異なるというのは不自然に感じることでしょう。
そこで法律で全国一律で規制すればよい気がします。
しかし現状は、軽犯罪法はあるものの、あくまで各都道府県の条例による規制がメインとなっている状態のため、このような都道府県による差が生まれている状態です。

~逮捕の可能性が上がるかも~

盗撮は、犯罪の中では比較的軽いものであるため、警察に発覚しても逮捕はされないこともあります(在宅事件)。
自宅から警察署等に出向いて取調べを受けたり、裁判所に行って裁判を受けるという流れになります。

しかし罰則が強化されると、逮捕される可能性が上がるかもしれません。

逮捕されて身体拘束されている期間が長くなればなるほど、出勤できずに勤め先を解雇される可能性が高まるなど、影響が大きくなっていきます。
弁護士としては、まずは早期釈放を目指します。
そして出来るだけ軽い処分や判決を得るために、被害者に謝罪・賠償して示談するなどの弁護活動をすることになります。

今後の人生に大きく関わってくることですし、わからないことも多いと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご依頼を、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

大学女子トイレに盗撮カメラを設置して逮捕

2020-03-09

大学女子トイレに盗撮カメラを設置して逮捕

今回は、大学に侵入し、女子トイレに盗撮カメラを設置した疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
埼玉県新座市在住のAさんは、深夜、近所の大学に侵入し、女子トイレの個室に盗撮カメラを設置しました。
翌日、女子トイレの利用者Vが盗撮カメラに気付いたので、大学に報告しました。
通報を受けた埼玉県新座警察署が監視カメラを確認したところ、Aさんが女子トイレ前の廊下を、カメラ機材を持って歩いているところが写っていました。
Aさんは後日、建造物侵入の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんは会社員で、会社をクビになることに不安を感じています(フィクションです)。

~成立する犯罪は?~

①建造物侵入罪②軽犯罪法違反になる可能性が高いと思われます。

【建造物侵入罪】
建造物侵入罪は、正当な理由がないのに、人の看守(管理)する建造物に侵入する犯罪です(刑法第130条前段)。

大学は学長などが管理する「建造物」にあたります。

また、「侵入」とは、管理権者の意思に反する立ち入りを言います。
大学へ盗撮目的で立ち入ることは学長などの管理権者が許すはずがなく、管理権者の意思に反する立ち入りとして「侵入」に該当する可能性が極めて高いです。

刑罰は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金となっています。

(愛知県迷惑行為防止条例違反の罪)
以下、愛知県迷惑行為防止条例第2条の2第3項を引用します。

愛知県迷惑行為防止条例
第2条の2
1 省略
2 省略
3 何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の姿態をのぞき見し、又は撮影すること。
二 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は人の姿態に向けること。

同条例第2条の2第3項2号によれば、トイレをのぞき見する行為や、撮影する行為そのものだけでなく、盗撮カメラを設置したり、人の姿態に向けること自体も禁止されていることがわかります。
要するに、実際にトイレの利用者などが撮影されていなくても、トイレ利用者を盗撮する目的でカメラを設置した段階で、既に処罰されうるということです。

最近では、多くの自治体において、このような盗撮の前段行為が禁止されています。
愛知県迷惑行為防止条例は、女子トイレに盗撮カメラを設置する行為につき、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」を予定しています(同条例第15条1項)。

~今後の弁護活動~

【被害者との示談交渉】
弁護士に依頼し、被害者(撮影された場合の被害者や大学など)と示談交渉を行ってもらう必要があります。
うまく示談がまとまれば、検察官により「起訴猶予処分」(不起訴処分の一種)がなされ、前科を付けずに解決できる可能性があります。
弁護士はAさんのためにより良い条件で示談が成立するよう努めますが、被害者の態度によっては、会ってもらえない場合や、謝罪を受け入れてもらえない場合もありえます。

【会社に事件が知られないようにする】
Aさんの勤務先が、報道などを通じて、Aさんの起こした盗撮事件を知ってしまうと、会社をクビになる可能性が十分あります。
弁護士は、警察に対し、報道機関へ事件を公表しないよう働きかけます。

また、1日も早く留置場拘置所の外に出なければ、無断欠勤を続けたものとして、やはりクビになってしまうでしょう。
したがって、早期の身柄解放を実現する必要があります。
Aさんに「逃亡のおそれ」、「罪証隠滅のおそれ」がないことを説得的に主張し、身体拘束が長引かないように活動してもらう必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が盗撮事件を起こしてしまい、お困りの方はぜひご相談ください。

盗撮行為の取締対象の拡大と弁護活動

2020-03-04

盗撮行為の取締対象の拡大と弁護活動  

盗撮行為の取締対象の拡大や盗撮事件の弁護活動ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】
神奈川県鎌倉市に住む男性Aは、知人の女性Vらを呼んで飲み会を行う際、あらかじめ自宅トイレに小型カメラを設置し、Vがトイレを利用する様子を撮影しました。
Vはカメラの存在に気が付き、警察に相談。
神奈川県鎌倉警察署の警察官は、Aを迷惑行為防止条例違反(盗撮)の疑いで取調べを行った。
Aは、盗撮事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~盗撮と処罰範囲の拡大~

スマートフォンなどの撮影機能の付いた機器の普及によって、盗撮行為が容易になったこともあり、盗撮事件が急増しているといわれています。

2020年現在、刑法には盗撮行為そのものを処罰する規定はなく、盗撮行為に関しては主として各都道府県が制定したいわゆる迷惑行為防止条例によって処罰されています。
この迷惑行為防止条例も、盗撮事件の増加に対応して改正が重ねられており、条例の適用範囲の拡大が図られています。

たとえば、神奈川県迷惑行為防止条例にはこのように規定されています。

第3条1項
何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
1号 省略
2号 人の下着若しくは身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)を見、又は人の下着等を見、若しくはその映像を記録する目的で写真機その他これに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、若しくは人に向けること。
(3) 省略
第2項
何人も、人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない。

3条1項2号が公共の場所での盗撮を、3条2項が住居内やトイレの盗撮を禁止しています。
従来は1項の公共の場所での盗撮のみを禁止している条例が多かったですが、公共の場所とまでは言えない場所での盗撮も処罰できるよう、2項のような規定を定める動きが全国的に広まりました。

したがって、従来ではせいぜい軽犯罪法による軽い処罰しかできなかった本事例のような被疑者の自宅での盗撮行為なども、迷惑防止条例違反として刑事処罰の対象となり得るのです。

もっとも、上記のような改正を行い処罰範囲の拡大を行った都道府県と、そうでない都道府県があり、各都道府県の迷惑行為防止条例の規定により処罰される行為の範囲が異なってきているのが現状です。
したがって、そもそも自らの行為が迷惑防止条例の対象となるのか、逮捕されてしまうかなども含め、盗撮事件の弁護活動の経験が豊富な弁護士にいち早く相談することが重要になってきます。

~盗撮事件における弁護活動~

盗撮事件においても、刑事処分を避け不起訴等を獲得するには被害者と示談することが重要です。

迷惑防止条例では盗撮行為に対する刑罰として懲役刑も規定されていますが、罰金刑として処理される場合が多いといわれています。
もっとも、罰金刑であっても前科であることに変わりはないため、これを避ける必要性が高いといえます。

特に初犯などの場合は、被害者との示談によって罰金刑を回避し、不起訴処分を得ることが期待できるケースです。

これに対し、同種の前科前歴がある場合には、弁護活動の内容も変化する可能性も考えられます。
盗撮事件では、撮影に使われたスマートフォン等が押収され、そこから余罪などが追及されるケースも少なくありません。

したがって、弁護士に相談し、どのように対応していくことがベストなのかを早急に見定めることが重要となってきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件を含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
弊所には、盗撮事件の弁護活動の経験豊富な弁護士が多数所属しています。
盗撮事件で取調べを受けられた方などは、年中無休のフリーダイヤル0120-631-881まで、まずはお電話ください。
担当者が、刑事事件専門の弁護士による無料相談などについて詳しくご説明差し上げます。

小学校のトイレに盗撮カメラをしかけ、逮捕

2020-02-28

小学校のトイレに盗撮カメラをしかけ、逮捕

今回は、小学校のトイレに盗撮カメラをしかけた場合に成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは深夜、東京都町田市内の小学校の女子トイレに侵入し、盗撮カメラをしかけました。
後日カメラの回収のため、同じく深夜に小学校へ侵入したところ、警備員に見つかり、あわてて逃走しようとしましたが、捕まりました。
通報により警視庁町田警察署の警察官も駆け付け、Aさんは建造物侵入の疑いで逮捕されてしまいました。
警察はAさんの余罪についても捜査する方針です(フィクションです)。

迷惑行為防止条例違反に

小学校のトイレに盗撮カメラを設置すると、①迷惑行為防止条例違反②建造物侵入罪、③児童ポルノ禁止法違反になる可能性があります。

まずは①東京都の迷惑行為防止条例を見てみましょう。

第5条1項 
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
1号 省略
2号 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

小学校の女子トイレは、5条1項2号イの「便所」に明らかに該当します。
このような場所で、通常衣服で隠されている下着や身体を「撮影」したり、盗撮目的で写真機(カメラ)を「設置」したりすると、この条文に違反したことになります。

今回のケースでは、しかけたカメラにより下着や身体を「撮影」できたかどうかがはっきりしていませんが、撮影できてなかった場合であっても、「設置」することも禁止されていますので、どちらにしろ迷惑行為防止条例違反になるでしょう。

Aさんは建造物侵入罪逮捕されていますが、警察は余罪である迷惑行為防止条例違反査も進めていくことになります。

罰則は、カメラの設置6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(常習者だと1年以下の懲役または100万円以下の罰金)になります。
撮影までしていれば1年以下の懲役または100万円以下の罰金(常習者だと2年以下の懲役または100万円以下の罰金)となります。
前科がある者については常習者として処罰される可能性が上がります。

~建造物侵入罪~

続いて、建造物侵入罪について解説いたします。

正当な理由がないのに、人が看守する(管理する)建造物に侵入すれば、建造物侵入罪が成立します(刑法第130条前段)。

ここでいう「侵入」とは、管理権者の意思に反する立入りを意味します。
小学校の管理者は、Aさんが盗撮目的で立ち入ることを容認していないでしょう。
したがってAさんが小学校に盗撮目的で立ち入った行為には、建造物侵入罪が成立するでしょう。

罰則は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金となっています。

~児童ポルノ禁止法違反の可能性も~

小学校の女子トイレは、児童が衣服の一部を着けずにいることの多い場所です。
もしAさんの盗撮カメラがそのような状態の児童を撮影していれば、児童ポルノを作ることを禁止している児童ポルノ禁止法に違反する可能性もあります(児童ポルノ製造・同法7条5項参照)。

罰則は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金となっています。

児童ポルノ製造にも問われるとなると、より重い処分や判決になることを覚悟する必要があるでしょう。

~まずは弁護士の接見を受けましょう~

まずは一刻も早く釈放を目指すことが必要です。
そのためには早期に弁護士を付け、勾留の回避に向けて活動していくのが望ましいです。
逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士のアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が逮捕されてしまいお困りの方は、ぜひご相談ください。

性行為を盗撮して現行犯逮捕

2020-02-23

性行為を盗撮して現行犯逮捕

今回は、アパートの外から隣人の性行為を盗撮してしまった事件の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは東京都足立区内のアパートに住んでいます。
時々、隣室から性行為の物音が聞こえてくるので、その様子を撮影しようと思い、外から隣室における性行為の様子を撮影していたところ、パトロール中の東京都綾瀬警察署の警察官から職務質問を受けました。
Aさんは「自室を外から撮影していた」などと弁解しましたが、あまりにも不自然な弁解であったため、かえって警察官の疑念を深めてしまいました。
カメラのデータを見せるよう求められたので、しぶしぶ警察官にこれを見せると、Aさんの隣室で男女が衣服を付けずに性行為をしている様子が録画されていました。
Aさんは東京都迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~東京都迷惑行為防止条例について解説~

Aさんは、東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例、通称「迷惑行為防止条例」に違反した疑いで現行犯逮捕されてしまいました。

条文を見てみましょう。

東京都迷惑行為防止条例
第5条1項
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
一 省略
二 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 省略
三 省略

Aさんがカメラを用いて、隣室において衣服を付けずに性行為をしている男女の様子を撮影した行為が、第5条1項2号イに違反する可能性があると考えられます。

上記規定に違反したとして有罪判決を受ける場合、盗撮の常習者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に、常習者の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金処せられます(同条例第8条2項1号、同条7項)。

仮にAさんが盗撮を繰り返していたとしても、警察に発覚したのが初めてであれば、初犯として常習者の扱いになる可能性も十分考えられますが、前科がある場合には常習者として処罰される可能性が上がるでしょう。

~今後の刑事手続の流れ~

取調べでは余罪についても尋ねられるでしょう。
Aさんの自宅が捜索される可能性もあります。
撮影データなど、余罪を示す証拠が押収されれば、その件でも追及されるでしょう。

今回のケースの事件は、刑の重さとしては重大な事件とはいえませんが、被害者がAさんの隣人で鉢合わせる可能性も高いということもあり、適切な弁護活動を行わなければ、勾留、またはその延長がなされるなど、身体拘束が長引く可能性が十分予想されます。

このような場合は、引越しをしたり、Aさんの家族など責任をもってAさんを監督する身元引受人を用意することにより、釈放される可能性を高めることができます。
身元引受人を用意できる場合は、その旨を記載した書面を弁護士に作成してもらい、捜査機関などに提出することになります。

また、被害者と示談をすることも重要です。
ただ、性犯罪などの被害者は、加害者と直接交渉することを嫌うケースも多かったり、示談金額や示談書の文言などわからないことも多いと思いますので、弁護士を立てて行うことをおすすめします。

示談が成立すれば、当事者間で事件が解決したものとして釈放される可能性が高まります。
また、検察官がAさんにつき、不起訴処分を行う可能性も高めることができます。

被害者と示談を成立させることは、そのまま身柄解放活動にもなりえますし、より有利な処分を獲得するための準備ということもできるのです。

弁護士からアドバイスを受け、事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が盗撮事件を起こして逮捕されてしまい、お困りの方はぜひご相談ください。

高校の女子トイレに盗撮カメラを設置し取調べ

2020-02-18

高校の女子トイレに盗撮カメラを設置し取調べ

教師が学校トイレに盗撮目的でカメラを設置し、警察の取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~
Aさんは福岡市内の高等学校の教師をしています。
Aさんは、女子トイレを盗撮しようと思い、小型カメラをトイレ個室に設置しました。
翌日、カメラを回収しようとしたところ、トイレの利用者がカメラに気付いたらしく、騒ぎになっています。
Aさんは罪悪感にかられ、監視カメラなどから自身の犯行が発覚するのは時間の問題であると考えたので、自らの犯行であることを同僚に明かしました。
幸い、トイレ利用者は誰も撮影されていなかったようですが、Aさんは福岡県東警察署取調べを受けることになりました。(フィクションです)

~迷惑行為防止条例違反~

Aさんがした行為には、①福岡県迷惑行為防止条例違反、②建造物侵入罪が成立する可能性があります。

まずは①条例違反について解説いたします。
条文を見てみましょう。

福岡県迷惑行為防止条例
第6条3項
何人も、正当な理由がないのに、第一項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
1号 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影すること。
2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。

「第一項に規定する方法」とは、「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法」です。
痴漢盗撮行為をすれば通常はこれにあたります。

また、Aさんの勤務先である学校の女子トイレは明らかに1号の「便所」に該当します。
ただしAさんは、「衣服の全部又は一部を着けない状態」にあるトイレ利用者の姿態を撮影するには至っていないので、1号には該当しません。
しかし、このような撮影をする目的でカメラを設置したわけなので、2号の「前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置」したものとして、条例違反となる可能性は極めて高いと思われます。

上記規定に違反し、有罪判決が確定すると、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に、さらに盗撮常習者の場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

~建造物侵入罪~

続いて、建造物侵入罪について解説いたします。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する

Aさんの行為は、赤く色付けした部分に該当する可能性があります。

まず、学校は、「人の看守する(注:見守る・管理する)…建造物」に該当します。

また、判例によると、「侵入」とは「管理権者の意思に反する立ち入り」を意味します。
盗撮目的での学校への立ち入りは管理権者が容認していないので、たとえその学校の教師であっても、「管理権者の意思に反する立ち入り」すなわち「侵入」に該当すると判断される可能性があります。

そして盗撮目的での侵入に「正当な理由がない」ことも明らかです。

したがって建造物侵入罪が成立しうるわけです。

~今後Aさんはどうなるか?~

現在、Aさんは在宅で捜査されており、逮捕されていません。
警察出頭要請に応じながら、任意で取調べを受けることになります。

警察での捜査が一通り終わると、検察に事件が送致され、検察官の取調べを受けることになります。
そして、最終的に検察官がケースの事件につき、起訴するか(刑事裁判にかけるか)、あるいは不起訴にするかを判断することになります。
起訴されると、無罪判決を獲得するのは困難であり、有罪判決を受けて前科が付く可能性が高くなります。

逮捕されていない在宅事件であるからといって、何もしないのは得策ではありません。
弁護士に依頼し、盗撮されそうになった被害者との示談交渉を行ったり、取調べのアドバイスを受けたりすることをおすすめします。

Aさんが初犯であり、かつ、示談が成立すれば、不起訴処分をとなる可能性を上げることができます。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることがないので、前科をつけずに事件を解決することができます。
不起訴処分とまでならなくても、罰金額など減らせる可能性もあります。

また、示談をまとめることにより、職場から懲戒免職処分をされるのではなく、諭旨退職といった形になる可能性もあります。
まずは、弁護士と相談し、事件解決に向けたアドバイスを受け、善後策を講じていきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、今回のケースのような盗撮事件の解決実績も豊富です。
盗撮事件を起こしお困りの方は、ぜひご相談ください。

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