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性行為を盗撮していたら

2019-08-02

性行為を盗撮していたら

~事件内容~
大阪市中央区在住の会社員Aさん(30歳)は同僚の女性Bさん(25歳)を自宅に呼び、女性の同意を得て性行為をしました。
その時にAさんは小型カメラを設置し、性行為の一部始終を盗撮していたのですが、それがBさんに見つかってしまいました。
激怒した女性に110番通報され、Aさんはかけつけた警察官によって大阪府東警察署に連行されてしましました。
Aさんは大阪府東警察署で取調べを受け、盗撮にしようした小型カメラを押収されましたが、その日は家に帰ることができました。
Aさんは、今後どのように対処すればよいか分からず、弁護士に相談することにしました。
(これはフィクションです)

~問題となる条文~

盗撮行為は各都道府県のいわゆる「迷惑防止条例」に違反する可能性が高いです。
盗撮行為は各都道府県の条例によって、規制されていますが、盗撮した場所や盗撮の方法などによって適用される条文が異なります。

また、都道府県によって若干ではありますが、規制されている内容も異なり、科される刑罰も変わってきます。
Aさんの行為は盗撮用の写真機の設置となります。

例えば、大阪府の「大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」では、撮影の目的で、人に写真機を向け、又は設置した人は、起訴されて有罪が確定すると「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」の刑罰を科されることになりますが、これは公共の場所や乗り物、若しくは公衆が利用することのできる通常衣類を身に着けない場所に限られているので、Aさんのように、自宅に盗撮用カメラを設置しても条文の適用を受けないでしょう。

他方、愛知県迷惑行為防止条例や神奈川県迷惑行為防止条例の場合ですと、盗撮するための、写真機の設置を禁止する条文の中に「住居」が含まれているので、盗撮するために写真機を設置したAさんの行為の行為は規制の対象になるでしょう。

~盗撮事件に対する弁護活動~

盗撮事件は法定刑を考慮すれば、比較的処罰が軽い犯罪になるので、罪を認めて証拠品を押収されていれば、逮捕や勾留されず、在宅事件になる可能性が高いです。
在宅事件の場合、取調べを受けに警察署に行かなければいけません。
そこで、取調べに呼ばれる前に、盗撮事件などの刑事事件に強い弁護士に相談をしておくことをおすすめします。
取調べの前に弁護士と相談しておくことで以下のメリットがあります。

①取調べを受ける準備をしておくことができる
警察官などによる取調べは、取調べ室という密室において、警察官と1対1で行われます。
1人で警察官に取調べを受けることは、かなりの精神ストレスになりますし、気付かぬうちに自分に不利な供述をしてしまう可能性もあります。

また、一度調書に記載されてしまうと、それを取り消すことは極めて困難ですし、その時の供述によって有罪が認定されてしまう場合もあるので十分に注意しなければなりません。
この様な事態を避けるために事前に、弁護士に相談しておくことで、取調べで警察に聞かれそうなことを想定しておくことができ、精神的に余裕を持って取調べに臨むことができるなどのメリットがあります。

②示談の申し込み
盗撮事件では、被害者の方と示談する事によって前科の回避や処分の軽減が望めます。
特に、示談の中に、宥恕条項を得ることができれば、今後不起訴になる可能性が高くなるでしょう。
しかし、事件の当事者だけで示談を行うことは極めて困難ですし、そもそも警察等の捜査当局から被害者情報が開示されるとも限りません。
盗撮事件の場合、被害者の方は事件の当事者に会いたくない、という精神状態の方が大半だからですし、そういった感情から、加害者に連絡先等の個人情報を加害者に開示することを拒む被害者も少なくないのです。

弁護士あれば、示談がスムーズに行うことができるように情報を集め、本人の代理人として被害者の方と示談交渉することが可能です。

大阪市中央区の盗撮事件でお困りの方、盗撮事件の被害者様と示談を望まれる方は、フリーダイヤル0120-631-88124時間受付中)までお気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。

盗撮に失敗しても盗撮罪?

2019-07-28

盗撮に失敗しても盗撮罪?

~ケース~

埼玉県朝霞市在住のAさんは埼玉県朝霞市内の駅のエスカレーターで女子高生であるVさんのスカートの中を小型デジタルカメラで盗撮しようとした。
しかし,盗撮しようとした際に電源ボタンに指が当たって電源が切れてしまい,写真を撮ることができなかった。
ですが,盗撮行為に気づいたVさんや周囲の人によってAさんは取り押さえられ,通報により駆け付けた埼玉県朝霞警察署の警察官にAさんは引き渡された。
連絡を受けたAさんの家族は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士初回接見サービスを依頼した。
(フィクションです)

~盗撮~

盗撮行為は刑法に規定はありませんが,各都道府県の制定するいわゆる迷惑行為防止条例によって禁止されています。
条文は若干の違いはありますが,多くの都道府県で禁止されている行為は次のようになっています。

公共の場所において,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような方法で衣服等に覆われている身体又は下着を撮影すること。

刑法は既遂処罰が原則で未遂を処罰する場合には別途規定する必要がありますが,迷惑防止条例には盗撮行為の未遂処罰は規定されていません。
したがって盗撮が未遂に終わった場合に処罰する規定は迷惑防止条例にはなく,別に定められている「卑わいな言動」として処罰するしかありませんでした。

しかし,最近では条例の改正により,「撮影すること」に加え「撮影する目的で撮影機器を差し向けること」を新たに盗撮の処罰の対象とする地域も増えてきました。
このため,地域によっては,盗撮に失敗し,盗撮が未遂に終わったとしても「撮影する目的で撮影機器を差し向けた」といえますので盗撮として処罰されることになります(なお,埼玉県ではまだこちらの条文の形にはなっていないため,先ほど挙げた「卑わいな言動」として処罰されることが考えられます。)。

今回のケースでAさんは,少なくとも盗撮する目的をもってVさんのスカート内にカメラを向けています。
したがって,誤って電源が切れてしまい撮影することができなかったとしても,差し向けた行為が盗撮として罰せられることになると考えられます。
上述のように,埼玉県では「卑わいな言動」として処罰される可能性があります(埼玉県迷惑防止条例2条4項)。
罰則は都道府県によって異なりますが,埼玉県では「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(埼玉県迷惑防止条例12条2項1号)。

盗撮事件の場合,何度も繰り返しているという常習犯でなければ,起訴された場合でも罰金刑となることが多いでしょう。
また,初犯の場合や件数が少ない場合には刑事裁判とならずに略式手続きという簡易な手続きで罰金刑となる場合もあります。

~盗撮で捕まってしまったら~

盗撮で捕まってしまった(逮捕された)場合,勾留はされずに途中で釈放され,在宅で事件が進むケースも多いです。
在宅事件の場合には,勾留された場合と異なり検察官が起訴するかどうかのタイムリミットが厳格に定められていません。
そのため,検察官は事件後の情状などを総合的に判断して被疑者を起訴するかどうかを決定します。

盗撮事件で検察官が被疑者を起訴するかどうかの判断に最も大きな影響を与える要素の1つは,被害者の方と示談が成立しているかどうかです。
示談が成立している場合,当事者間で解決しているのであり,あえて国家が刑罰を科す必要はないと考えられる場合があります。
特に,示談交渉の中に,「加害者を許す」という宥恕条項がある場合には前科や余罪がない場合には高確率で起訴猶予となるでしょう。
一方で,示談が成立していない場合には起訴されてしまう可能性は高くなります。
したがって,盗撮事件では示談を成立させられるかどうかが鍵となります。

しかし,示談交渉には被害者の方の連絡先を知る必要があります。
弁護士であれば検察官等から被害者の連絡先を取り次いでもらい示談交渉ができる場合もあります。
まずは刑事事件に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
盗撮事件を起こしてしまい,お悩み・お困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事務所での無料相談・警察署等での初回接見サービスのご予約を24時間受け付けています。

盗撮と示談

2019-07-23

盗撮と示談

神奈川県相模原市に住むAさんは、駅のホームで、右手に持っていたスマートフォンの動画撮影機能を利用して、前に並んでいた女性Vさんのスカート内を盗撮した(のちに、スマートフォン内にVさんの下着等が撮影されていたことが判明)として、神奈川県津久井警察署神奈川県迷惑防止条例違反で逮捕されました(その後、釈放)。
Aさんは、Vさんとの示談に向けて刑事事件弁護士に無料相談を申込みました。
(フィクションです)

~ 神奈川県迷惑行為防止条例 ~

神奈川県内における盗撮を禁ずる規定については「神奈川県迷惑行為防止条例(以下、条例)」の3条1項2号、3条2項に設けられています。

条例3条1項 
何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
2号
人の下着若しくは身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)を見、又は人の下着等を見、若しくはその映像を記録する目的で写真機その他これに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、若しくは人に向けること。

条例3条2項
何人も、人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない。

スマートフォンなどのカメラ機能付き機器で下着等を撮影することも条例3条1項2号の「人の下着等を見る」といえますから、Aさんの行為は3条1項2号に当たります。

3条の規定に違反した場合は、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」あるいは、常習として盗撮行為に及んだ場合は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」として処罰されるおそれがあります。

~ 盗撮の示談(交渉)に弁護士が入る意味 ~

AさんはVさんとの示談交渉を望んでいるようですが、示談交渉は以下の理由から弁護士に依頼する必要があります。

= 被害者の連絡先を入手でき、示談交渉が可能となる =
盗撮の場合、加害者自ら被害者と示談交渉しようとしても、被害者と面識がなく連絡先を知らないことが大多数だと思われます。
また、警察などに連絡をしても、被害者に対する罪証隠 滅行為を疑われ、被害者のプライバシーを保護する観点からも被害者の連絡先を教えてはくれません。
この点、弁護士であれば被害者の同意のもと連絡先を連絡先を入手することができ、示談交渉を始めることが可能です。

= 円滑な示談交渉が期待できる =
盗撮によって被害者は辱めや、不安を受けています。
そこに、加害者自ら示談交渉を進めようとしても被害者の感情を逆なでするだけになってしまうことも考えられます。
この点、弁護士であれば、そのような感情を抜きに示談交渉を進めることができます。
弁護士であれば、当事者の間に立って、被害者の要望と加害者の要望とを上手く調整しながら示談交渉を進めることができます。

= トラブルを避ける =
示談に関するトラブルを避けるには、適切な内容・形式で示談書を作成しなければなりません。
一部の条項が欠けていたり、文言が不適切だった場合はのちのちのトラブルに発展しかねません。
この点、弁護士は示談書作成の専門家です。
安心して示談書作成を任せることができます。

= 不起訴を獲得できる =
盗撮では、示談締結が不起訴獲得のための必要条件といっても過言ではありません。
もちろん前科や犯行態様などにもよりますが、刑事処分前に示談を成立させることができれば、不起訴獲得の可能性は飛躍的に上がります。
作成した示談書の写しは検察官に提出しますが、弁護士が間に入って作成した示談書であれば信用性が増し、不起訴処分に繋がりやすくなります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮などの刑事事件専門の法律事務所です。
盗撮での示談交渉、不起訴獲得なら刑事事件専門の弁護士にお任せください。
年中無休、24時間対応の0120-631-881で無料法律相談、初回接見サービスのお問い合わせを受け付けております。

東京都三鷹市の駅で盗撮事件

2019-07-18

東京都三鷹市の駅で盗撮事件

~ケース~

Aさんは,仕事の人間関係などのストレスを発散するために,東京都三鷹市内にある駅で女性のスカートの中を盗撮していた。
ある日Aさんがエスカレーターで前を歩いていたVさんのスカートの中を盗撮しようとスマートフォンを差し出したところ,後ろにいたXさんに気づかれAさんは取り押さえられた。
Aさんは駅員に引き渡され,通報により駆け付けた警視庁三鷹警察署の警察官によってAさんは逮捕された。
(フィクションです)

~盗撮~

盗撮は,刑法ではなく各都道府県の定めるいわゆる「迷惑防止条例」によって禁止されています。
条例は各都道府県ごとに定められていますので,罰則や条文などに若干の違いがあります。
以下に,例として東京都が制定している迷惑防止条例の盗撮行為に関する条文を記載します。

第5条 何人も,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為であって,次に掲げるものをしてはならない。
(1) 略
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を,写真機その他の機器を用いて撮影し,又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け,若しくは設置すること。
イ 住居,便所,浴場,更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所,公共の乗物,学校,事務所,タクシーその他不特定又は多数の者が利用し,又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

「公共の場所」とは,道路,公園,広場,駅,空港,ふ頭,興行場その他の公共の場所をいい,「公共の乗物」とは汽車,電車,乗合自動車,船舶,航空機その他の公共の乗物をいいます(第2条)。
都道府県によって条文の文言に違いはありますが,規制される行為の内容にはあまり違いはありません。

なお,東京都の場合,罰則はカメラ等の差し向け・設置の場合には6月以下の懲役または50万円以下の罰金,撮影した場合には1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっていますが,都道府県によっては両者の罰則に違いがない場合もあります。

~盗撮で逮捕されたら~

盗撮で逮捕された場合,基本的に携帯電話は押収されます。
押収の方法として任意提出と差押えの2つが考えられますが,任意提出を拒否したとしても差押え令状によって差押えられることになるでしょう。
また,任意提出を拒んだ場合,罪証隠滅の疑いがかけられる可能性が高く,勾留されてしまったり保釈が認められにくくなる可能性もあります。
押収された携帯電話は証拠となるため終局処分まで返してもらえないことが多いですが,撮影をしていない場合で余罪のデータなどが無かった場合には,証拠とはならないとされて送検される前に返してもらえる場合もあります。

余罪の画像などデータがある場合には,撮影日時はデータから分かりますが,場所についてはGPSとの紐づけなどの設定がされていない場合にはデータのみからはわからないことも多いでしょう。
盗撮を立件する場合,撮影の日時・場所の特定が必要となりますので,取調べの対応次第では余罪として立件されない場合も考えられます。

~弁護活動~

盗撮事件の場合,初犯であれば被害者の方と示談が成立していれば,起訴猶予の不起訴処分となる場合が多いです。
一方,示談に応じてもらえなかった場合などは,件数にもよりますが略式手続きによる30万円~50万円程度の罰金となることが多いでしょう。

盗撮事件で示談交渉を加害者の方が自ら行うことは非常に困難です。
示談交渉を行おうとしても,盗撮事件の場合,被害者は見ず知らずの方であることが多く,連絡先なども一切わからないと思います。
弁護士であれば検察官や警察から被害者の連絡先などを取り次いでもらえる場合もあり,それによって示談交渉ができる可能性が上がります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
盗撮事件を起こしてしまいお困りのかたは,0120-631-881までお気軽にご相談ください。
無料法律相談や初回接見サービスのご予約を24時間受け付けています。

高校の女子トイレに盗撮カメラを設置し取調べ

2019-07-08

高校の女子トイレに盗撮カメラを設置し取調べ

~ケース~
Aさんは北海道札幌市内の公立の高等学校の教師をしています。
Aさんは、女子トイレの利用者を盗撮しようと思い、小型カメラをトイレ個室の利用者が写るように設置しました。
次の日にカメラを回収しようとすると、すでにカメラの設置が発覚し騒ぎになっているようです。
Aさんは罪悪感にかられ、みずから小型カメラを設置したことを告げました。
その結果、Aさんは同僚により北海道中央警察署に通報されてしまいました。
取調べを受けた後、Aさんは家に帰ることができましたが、今後も取調べを受ける予定です。
(フィクションです)

~Aさんに成立しうる犯罪は?~

Aさんには、①北海道迷惑行為防止条例違反の罪②建造物侵入罪が成立する可能性が高いと思われます。
以下、それぞれについて解説します。

(北海道迷惑行為防止条例違反の罪)
北海道迷惑行為防止条例第2条の2第3号は、正当な理由がないのに、「住居、浴場、便所、更衣室その他の人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(以下この号及び次号において「住居等」という )における当該状態の他人の姿態を撮影し、又はこれを撮影するため写真機等を住居等における当該状態の他人に向けること」を、第4号で「住居等における前号に規定する状態の他人の姿態を撮影するため、写真機等を設置すること」を禁止しています。
正当な理由がないとは不法という程度で、禁止行為を行えば通常該当します。
Aさんが勤務する高校の女子トイレは明らかに上記「便所」に該当します。
そこで用を足すために服を脱ぐでしょうから、その状態を撮影するために小型カメラを置けば、北海道迷惑行為防止条例2条の2第4号違反になります。
上記行為につき起訴され、有罪が確定すると、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(北海道迷惑行為防止条例第11条1項)。

(建造物侵入罪)
建造物侵入罪は、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入する犯罪です。(刑法第130条前段)
判例によると、「侵入」とは「管理権者の意思に反する立ち入り」を意味します。
Aさんはあらかじめ盗撮カメラを用意して学校に立ち入っています。
Aさんは教師にすぎず、管理権者ではありません。
あらかじめ盗撮カメラを用意していたこと及びその他の事情により、学校へ盗撮目的で立ち入ったものと判断された場合は、通常、盗撮目的での学校への立ち入りは管理権者が容認していないと考えられるので、当該立ち入りが「侵入」に該当すると判断される可能性があります。
建造物侵入罪につき、有罪が確定すると、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます。

~今後Aさんはどうなるか?~

現在、Aさんは在宅で捜査されており、逮捕されていません。
警察段階での捜査が進み、警察での捜査が熟せば、検察に事件が送検され、検察官からも取調べを受けることになります。
そして、最終的に検察官がケースの事件につき、起訴するか、あるいは不起訴にするかを判断することになります。
起訴されると、無罪判決を獲得するのは困難であり、有罪判決を受けると、前科がつくことになります。

また、Aさんは教師という公務員ですので、Aさんの勤務先から、免職を含む懲戒処分を受けることも考えられます。
Aさんの場合、懲役刑を受けると執行猶予付きであっても当然に失職します(地方公務員法28条4項・16条2号)し、起訴されるだけで休職になる可能性があります(地方公務員法28条2項2号)。
そのため、身体拘束をされていないからといって、何もせず過ごすのではなく、被害者との示談交渉など、不起訴処分の獲得に向けた活動を行っていくべきです。
まずは弁護士に相談し、取調べの対応方法、事件の解決までどう過ごしていればよいか、示談交渉はどう行うか、などの点につき、助言を受けることをおすすめします。

取調べで供述したことは、Aさんにとって有利にも、不利にもなります。
供述の内容、あるいは捜査中のAさんの行動によっては、現在在宅で捜査が進行していても、後日逮捕されてしまう可能性はゼロではありません。
弁護士とよく相談し、今後の対応策を検討しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、ケースのような盗撮事件の解決実績も豊富です。
盗撮事件を起こしお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

教室内での盗撮

2019-07-03

教室内での盗撮

臨時講師であるAさんは、福岡県田川市内にある中学校の教室内で、女性教諭のスカート内を盗撮した福岡県迷惑行為防止条例違反の疑いで福岡県田川警察署に事情を聴かれることになりました。
本件では、盗撮場所である教室が、条例で定める「公共の場所」であるか否かが問題となっているようです。
(実際にあった事例を基に作成したフィクションです。)

~ はじめに ~

上記事例は、先日、各新聞やニュースなどで取り上げられた中学校教室内における盗撮事件で、教室が「公共の場所」に当たらないと判断されて立件を見送られた、という事例を基に作成したものです。
このニュースを見て「どうして見送られたのか?」「他に処罰する法律はないのか?」「見送られた後はどうなるのか?」などと疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は、まずは事例の基となった盗撮事件が起こった秋田県内で盗撮行為を規制する秋田県迷惑行為防止条例の規定から見ていきたいと思います。

~ 秋田県迷惑行為防止条例が規制する盗撮行為 ~

秋田県迷惑行為防止条例(以下、条例)では、条例4条で盗撮行為を規制しています。

条例4条1項 
何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物において、人の性的 羞しゆう 恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
1号 人の身体に、衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から接触し、又は直接接触すること。
2号 衣服等で覆われている人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。
3号 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

条例4条2項
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣場、便所その他通常人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場合がある場所において当該状態でいる人を撮影してはならない。

今回の事例が秋田県で起きていれば、Aさんは女性教諭のスカート内を盗撮したということですから、Aさんの行為は「衣服等で覆われている人の下着を撮影した」として条例4条1項2号に当たり得るでしょう。

* 罰則について *
罰則については、条例17条1項1号で「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされ、さらに常習として行った場合は条例17条2項で「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられます。

~ 「公共の場所」とは ~

問題は、本件教室が「公共の場所」であるか否かという点です。
この点、「公共の場所」とは、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場、飲食席、遊技場その他の公共の場所など、有償・無償を問わず不特定多数の者が、自由に出入りし利用することができる場所とされています。
これからすると、一般的に、中学校の教室は、当該中学校の学生あるいは教職員のみが使用できる場所であって、「不特定多数の者が、自由に出入りし利用することができる場所」とは言い難いと思われます。
したがって、本件教室は「公共の場所」には当たらない(よって、秋田県の迷惑防止条例違反では処罰されない)でしょう。

* 他の県では処罰される可能性も? *
ところが、他の県では、教室内の盗撮であっても処罰される可能性があります。
例えば、今回の事例のAさんが盗撮を行った福岡県の迷惑行為防止条例では、盗撮行為を禁じる場所として「公共の場所」、「公共の乗物」以外に「その他の公衆の目に触れるような場所」を加えており、「その他の公衆の目に触れるような場所」には学校の教室も含まれると考えられるからです。

現在のところ、事例の基となった盗撮事件の起きた秋田県では同様の規定はありませんが、今回の事件を受けて同様の規定を設ける条例改正の動きが出てくるかもしれません。

~ 立件見送りとは? ~

今回の事例の基となった盗撮事件では、警察が立件を見送ったとのことでした。
立件を見送ったということは、今後、警察官の取調べを受けることはなくなるでしょうし、事件が検察庁へ送致されることもありません。
したがって、起訴、不起訴の刑事処分を受けたり、裁判を受けることもありません。
もちろん、前科はつきませんが、前歴としては残るでしょう。

犯罪の成否やその後の処分等は、なかなか一般の方だけでは分かりにくく、面倒なことが多いです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
ご不安の解消のための一歩として、無料法律相談初回接見サービスをご案内させていただきます。

コンビニトイレ内に盗撮カメラ設置

2019-06-28

コンビニトイレ内に盗撮カメラ設置

Aさんは,京都市左京区にあるコンビニトイレの女性専用トイレ内に入り、トイレ内にあった花瓶に小型カメラを仕掛けました。
そうしたところ、トイレ内を清掃中の女性のコンビニ店員が同カメラを発見。
京都府下鴨警察署へ通報しました。
警察によれば、小型カメラには女性店員をはじめとする女性の顔や小便をする姿(人の通常衣服で隠されている身体)が映っていたとのことです。
Aさんは、建造物侵入罪と京都府迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されてしまいました。
逮捕の通知を受けたAさん母親は、盗撮に強い弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ コンビニトイレ内の盗撮 ~

コンビニトイレ内の盗撮行為は、各都道府県が定める迷惑行為防止条例違反に問われる可能性があります。

京都府の迷惑行為防止条例を例に挙げると、その3条に、次の規定が設けられています。

京都府迷惑行為防止条例3条
1項 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
(略)
2項 何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
(1) みだりに、着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
(2) みだりに、前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、又は着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等をすること。
(略)
3項 何人も、みだりに、公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある他人の姿態を撮影してはならない。

これによれば、トイレ内の盗撮行為は、「トイレ内にいる人」の、「着衣で覆われている他人の下着等を撮影する」又はそうした行為をしようとして「着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等」した場合に成立します。
「着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等」した場合にも成立するということは、カメラの設置方法が悪く、動画内に「着衣で覆われている他人の下着等」が映っていなかった場合でも成立するということですから注意が必要です。

~ その他の罪 ~

コンビニのトイレは、通常、コンビニ内に設けられていますが、コンビニ内に立ち入ることが認められても、男性が盗撮目的で女性専用のトイレ内まで立ち入ることを認められたわけではありません。
盗撮目的で女性専用のトイレに立ち入る行為は、「建造物侵入罪(刑法130条前段)」の「侵入」に当たります。
小型カメラがAさんの物だということが判明すれば小型カメラの設置場所にもよりますが、Aさんがトイレ内に立ち入ったと強く推認されてしまいます。
したがって、警察では小型カメラの入手経緯、動画・写真内の内容、カメラへの指紋の着手の有無等を詳しく調べられることになるでしょう。

~ 盗撮で逮捕されたら ~

今回のケースでは、弁護士としてはAさんの早期釈放に努めることが考えられます。
勾留前であれば、検察官や裁判官に勾留しないように働きかけることができます。
また、勾留後であっても勾留決定に対する不服申し立てを行って早期釈放を目指すことができます。
さらに、Aさんが盗撮の事実を認めている場合は、建物の看守者や盗撮害者に被害弁償、示談交渉を進めさせていただき不起訴処分獲得を目指すことも考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
弊所では、突然の逮捕でお困りの方のために、土日・祝日を問わず24時間,弊所の初回接見サービスを受け付けております。
依頼を受けた弁護士は速やかに逮捕された方と接見し、今後の弁護方針や事件の見通しなどをご説明させていただきます。
お困りの際は0120-631-881までお電話ください。

高校に侵入、女子更衣室を盗撮し逮捕

2019-06-23

高校に侵入、女子更衣室を盗撮し逮捕

~ケース~
Aさんは深夜、神戸市須磨区内の高校に侵入し、女子更衣室にカメラを設置しました。
翌日の日が暮れた放課後に再度学校に侵入し、カメラを回収することができましたが、廊下を歩いている際、不審に思った学校職員に声をかけられたところ、いきなり逃走しました。
学校の職員は兵庫県須磨警察署に通報し、駆け付けた警察官が階段の陰に隠れていたAさんを盗撮事件の被疑者として逮捕しました。
(フィクションです)

~学校で女子更衣室を盗撮すると、どのような犯罪が成立するか?~

(迷惑防止条例違反の罪)
盗撮を行うと、まず検討されるのが各都道府県の制定する迷惑防止条例違反の罪です。
各都道府県によって条文の文言、要件、法定刑にバラつきがありますが、①正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、②住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所、又は公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物において、③人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること(東京都の場合)を禁ずるといった規定があれば、学校女子更衣室における盗撮も迷惑防止条例違反の罪を構成しうることになります。

かつての迷惑防止条例は、公共の場所、公共の乗物、公衆が利用することができる更衣室における盗撮のみを規制していました。
学校の更衣室は相当多数の者が利用するため「公衆が利用することができる更衣室」に該当するようにも感じられますが、学校の更衣室は「当該学校の生徒」という特定の人物が利用することが前提となっているのが通常と考えられるので、「公衆が利用することができる更衣室」に該当しない可能性が高いと思われます。
そのような問題を踏まえて上記①~③のような規定に改正する自治体が現れています。

もっとも、全ての自治体でこのような改正が行われているわけではありません。
その場合は、迷惑防止条例違反の罪が成立しない可能性があり、次に解説する軽犯罪法違反の罪の成否が検討されます。

(軽犯罪法違反の罪)
軽犯罪法第1条23号は、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見」る行為を禁止しており、これに違反し、有罪が確定すれば拘留又は科料に処せられます。
なお、目視するだけでなく、カメラやビデオで盗撮した場合も「のぞき見た」に該当します(福岡高裁平成27年4月15日判決)。

(児童ポルノ製造罪)
児童買春・児童ポルノ処罰法第7条5項は、「ひそかに第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造」する行為につき、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金を予定しています。

※児童買春・児童ポルノ処罰法第2条第3項各号を以下抜粋
写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

盗撮に用いたカメラに、被写体の児童の下着姿などが写っていた場合、上記3号の児童ポルノを製造した嫌疑をかけられる可能性があります。

(建造物侵入罪)
盗撮目的で高校に侵入した場合は、建造物侵入の罪に問われる可能性があります。
建造物侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金となります。

~ご家族、ご友人が盗撮事件を起こし逮捕されたら~

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学習塾で生徒を盗撮し取調べ

2019-06-18

学習塾で生徒を盗撮し取調べ

~ケース~
Aさんは大阪府箕面市内の自宅で一人暮らしをし、自宅の一室で学習塾を経営しています。
ある日、Aさんは女子生徒のスカートの中を盗撮しようと考え、教壇のコンセントにテーブルタップ型のカメラを設置しました。
授業中、女子生徒Vが板書する機会があったので、後ほどカメラを確認すると、Vの下着が写っていました。
ある日、生徒がカメラのレンズに気付き、親に話すと、女子生徒の親は大阪府箕面警察署に被害届を出しました。
Aさんは大阪府箕面警察署から呼び出され、取調べを受ける予定です。
(フィクションです)

~室内で盗撮行為をすると何罪?~

室内での盗撮行為については、①各都道府県が定める迷惑防止条例違反の罪の成否、②住居(建造物)侵入の罪、③軽犯罪法違反の罪の成否が検討されます。

(大阪府迷惑防止条例違反の罪について)
以前は、盗撮を行った場所につき「公共の乗物」「公共の場所」などといった制限がありました。
これら以外の場所で盗撮を行った場合、既に説明した軽犯罪法違反の罪、住居侵入その他の罪に問われることはあっても、迷惑防止条例違反の罪に問われることはありませんでした。

ケースの学習塾の教室は「公共の場所」にあたるでしょうか。
「公共の場所」とは、不特定かつ多数が自由に利用し、又は出入りすることができる場所であることを要します。
学習塾の教室は、通常、契約をした生徒のみが利用し、あるいは出入りする場所でありますから、「不特定」かつ多数が利用し、あるいは出入りできる場所と認められる可能性は極めて低いと考えられます。

近年、上記の問題に対処するために、さまざまな都道府県で迷惑防止条例を改正しています。

大阪府迷惑防止条例も既に改正が行われ、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く)における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影することが禁止されています(同条例第6条3項)。
これに違反し、有罪が確定すれば、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
また、上記の撮影の目的で、人に写真機を向け、又は設置することも禁じられています(この場合の法定刑は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)。
ケースに照らして考えると、教壇にテーブルタップ型カメラを設置した時点で、既に迷惑防止条例違反の罪に問われうる、ということです。

(住居侵入罪について)
住居侵入罪は、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入する犯罪です(刑法第130条前段)。
ここにいう「侵入」とは、「住居権者の意思に反する立ち入り」を意味します。
盗撮目的で会社の建物、銭湯などに立ち入ると建造物侵入罪が成立しえますが、今回のケースにおいては、盗撮を行った場所がAさんの自宅であるため、住居権者はAさんということになります。
したがって、Aさんが外でテーブルタップ型カメラを用意し、盗撮目的で自宅に入ったとしても、「侵入」に該当することはありません。
Aさんには、住居侵入罪は成立しない可能性が高いです。

(軽犯罪法違反の罪について)
軽犯罪法第1条23号は、正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見る行為を禁止しています。
これに違反し、有罪が確定すると拘留又は科料に処せられます。
上記の迷惑防止条例違反の罪、住居(建造物)侵入の罪が成立しない場合には、軽犯罪法違反の罪の成否が検討されます
ケースの盗撮行為が行われたのは学習塾の教室として使用しているとはいえ自宅の一室ですから、「人の住居」には該当する可能性があります。
そのため、Aさんの行為が軽犯罪法違反の罪を構成する可能性があります。

(そのほかの犯罪について)

なお,今回の盗撮では,学習塾の生徒を盗撮していることから,盗撮画像が「児童ポルノ」に該当し,児童ポルノ禁止法違反となる可能性もあることに注意が必要です。

~警察から呼び出しを受けたら、まずは弁護士と相談~

取調べでは、犯行に至った経緯、犯行の態様、写真はどうしたか、などについて厳しく質問されると思います。
また、盗撮事件では、余罪についても厳しく調べられるでしょう。
いきなり密室である取調室に招かれ、取調官と向かい合い、適切な対応をするのは困難かと思います。
警察に呼び出され、お困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所初回無料相談をおすすめします。
刑事事件に熟練した弁護士が取調べの対応方法、今後の手続き、処分の見込み、今後はどうすればよいのかといった点につき、助言させていただきます。
相談予約は24時間対応しており、いつおかけいただいても構いません。
是非、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。
(初回無料相談予約は0120-631-881まで)

埼玉県蕨市の赤外線カメラ盗撮事件

2019-06-13

埼玉県蕨市の赤外線カメラ盗撮事件

~ケース~

会社員であるAさんは,埼玉県蕨市内で開かれるモーターショーにおいて,イベントコンパニオンの撮影をしていた。
その際,Aさんは赤外線カメラを用いてコンパニオンであるVさんらの写真を撮影していた。
すると,たまたま通りかかった警備員XがAさんが赤外線カメラで撮影していることに気が付き110番通報した。
駆けつけた埼玉県蕨警察署の警察官によってAさんは事情を聞かれることになった。
(フィクションです)

~盗撮行為~

盗撮は各都道府県の定める迷惑行為防止条例によって規定されています。
条文の正確な文言は各都道府県によって若干異なっていますが,たとえば東京都迷惑行為防止条例では以下のようになっています。

何人も,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為であつて,次に掲げるものをしてはならない。
(1) 省略
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を,写真機その他の機器を用いて撮影し,又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け,若しくは設置すること。
イ 住居,便所,浴場,更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所,公共の乗物,学校,事務所,タクシーその他不特定又は多数の者が利用し,又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
(3) 省略
2 ~ 4 省略

今回のようなケース東京都内で起きたような場合には,赤外線カメラを用いて撮影する行為が「通常衣服で隠されている下着又は身体を撮影する」行為であるかどうかが問題となるでしょう。

また,福岡県など,条文に「衣服等を透かして見ることができる機能を有する写真機等の当該機能を用いて,衣服等で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着の映像を見,又は撮影をすること。」と明示している都道府県も増えています。
ただ,赤外線カメラで衣服を透かして下着や身体を撮影する行為であっても,「通常衣服で隠されている下着又は身体を,写真機を用いて撮影する」に該当する可能性はあります。

さらに,各都道府県条例は制定時に想定されていなかった盗撮方法などを包括的に規制するために「その他,卑猥な言動をすること」を禁止している場合もあります。
今回のケースの舞台である埼玉県の迷惑防止条例にも,盗撮や痴漢について「何人も,公共の場所又は公共の乗物において,他人に対し,身体に直接若しくは衣服の上から触れ,衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。」という規定が定められています(埼玉県迷惑行為防止条例2条4項)。
従って,都道府県条例に「衣服等を透かして視ることができる~」の文言がないからといって処罰されないというわけではありません。

~盗撮で捕まってしまったら~

盗撮で検挙され,起訴された場合の罰則は都道府県によって異なりますが,多くの場合50万円から100万円以下の罰金または6ヶ月から1年以下の懲役となっています。
多くの場合が罰金刑か執行猶予付きの判決となり,実刑判決が下されることは稀ですが,前科や余罪の数,態様によっては判断が異なります。
また,盗撮事件では被害者の特定など捜査に時間がかかる場合が多いため,逮捕された場合でも勾留されずに在宅で捜査が進む事が多くなっています。

盗撮事件の場合,前科や余罪がない場合には被害者の方と示談が成立している場合には起訴猶予の不起訴処分となる場合も多くあります。
そのため,盗撮事件を起こしてしまった場合に前科を回避するためには被害者の方と示談をすることが重要になります。
しかし,被害者の方と直接示談交渉をするのは連絡先などもわからないことが多く,非常に困難です。
弁護士であれば被害者の方の同意の下,検察官から被害者の方の連絡先を取り次いでもらい示談交渉ができる場合もあります。
示談交渉の結果,「加害者を許す」という宥恕条項を示談書に盛り込んでもらうことによって起訴猶予となる可能性は高くなります。
また,宥恕状項を盛り込んで頂けない場合でも,示談が成立し被害弁償が済んでいる場合には,殊更刑罰を与える必要がないと判断され不起訴となる場合もあります。
盗撮事件などを起こしてしまい,前科を付けたくないとお考えの場合は一度弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
盗撮など迷惑行為防止条例違反事件での示談経験が豊富な弁護士が多数所属しています。
盗撮をしてしまいお悩みの方は0120-631-881までお気軽にお問合せください。

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