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福岡市早良区の簡易トイレで盗撮

2019-12-30

福岡市早良区の簡易トイレで盗撮

福岡市早良区簡易トイレでの盗撮事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事件】

Aさんは福岡市早良区で行われる野外音楽フェスの会場に設置された簡易トイレにカメラを仕掛けました。
Aさんは,このカメラを使って簡易トイレを利用した女性数名の姿を盗撮しました。
このカメラで盗撮した映像記録は,専らAさん個人で鑑賞する目的でした。
しかし,簡易トイレの利用者がカメラに気づき,会場を警戒していた福岡県早良警察署の捜査によって盗撮がAさんによるものと判明し,Aさんは取調べを受けることになりました。
(フィクションです)

【盗撮行為と犯罪】

盗撮とは,辞書的な意味でいえば被写体になる人物に気付かれないようこっそりカメラ等で撮影することをいいますが,これらの行為がすべて犯罪として処罰されるわけではありません。

福岡県においては,盗撮行為は県が定める迷惑行為防止条例によって取締りの対象となっています。
迷惑行為防止条例は盗撮の他にも痴漢などを処罰する規定を含む条例です。

福岡県迷惑行為防止条例第6条第2項
「何人も,公共の場所,公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において,正当な理由がないのに,前項に規定する方法(人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような方法)で次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着をのぞき見し,又は写真機,ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。)を用いて撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること 」

同条第3項
「何人も,正当な理由がないのに,第一項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 公衆便所,公衆浴場,公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し,又は写真機等を用いて撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること」

つまり,県が処罰対象としている盗撮とは,公共の場所や乗り物,または公衆が利用することのできる公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で,人を著しく羞恥させ,または人に不安を覚えさせるような方法で行われた撮影で,次の①または②の場合に当たるものをいいます。

①通常衣服で隠されている他人の身体や下着を撮影すること。
②公衆便所や公衆浴場など公衆が通常衣服の一部または全部を着けない状態でいるような場所で,衣服の一部または全部を着けないでいる状態にある人の姿態を撮影すること。

なお,①や②の目的でカメラを向けるだけで犯罪となります。

福岡県では,これらの盗撮行為によって迷惑行為防止条例違反が認められた場合の法定刑は6月以下の懲役または50万円以下の罰金となっています(福岡県迷惑防止条例第11条第2項)。
さらに,常習的に盗撮を行っていたと認められてしまった場合の法定刑は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

今回のAさんは,野外音楽フェスの簡易トイレにカメラを仕掛けて盗撮しています。
野外音楽フェスの簡易トイレは,野外フェスに参加している特定多数の人が利用できるトイレであり,公衆便所と同等に考えられます。
ですから,上記で言えば②にあたり,福岡県迷惑防止条例第6条第3項第1号に違反する盗撮行為となると考えられます。

それでは,①や②に当たらない場合は許可なく他人を撮影しても何ら犯罪とならないのでしょうか。

【衣服の上からの盗撮行為】

下着や着衣の下に隠された身体を撮影する目的があれば,撮影に失敗して衣服の上からの写真しか撮れなかったとしても盗撮として迷惑行為防止条例違反が成立することは説明しました。
では,下着や着衣の下に隠された身体を撮影する目的がまったくなく,現に衣服の上から撮影したにすぎない場合は処罰されないのかといえば,必ずしもそうではありません。

福岡県迷惑防止条例第6条第1項第2号によって,「何人も,公共の場所又は公共の乗物において,正当な理由がないのに,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような方法で」「卑わいな言動」をしてはならないと規定されています。
何が「卑わいな言動」にあたるのか,必ずしも明らかでなくその場の警察官などの判断によるところが大きいのですが,撮影場所や時間,撮影方法などを総合的に考慮した結果,着衣の上からの撮影であっても「卑わいな言動」にあたるとして処罰される可能性があります。

【盗撮事件の弁護活動】

もし盗撮による迷惑行為防止条例違反の被疑者となってしまったら,お早めに弁護士に相談することをおすすめします。
謝罪を聞き入れてもらったり,示談を成立させることによって,その示談内容や前科前歴などの事情にもよりますが,早期の身体拘束からの解放や不起訴処分を得られる場合も少なくありません。

また,盗撮の目的がなかったことを示すことも当事者だけでは難しい場合が多いです。
否認事件であれば特に弁護士の力が必要になります。

盗撮行為で迷惑行為防止条例違反の被疑者となってしまった方,福岡県早良警察署で取調べを受けることになってしまった方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

盗撮事件における弁護活動

2019-12-25

盗撮事件における弁護活動

盗撮事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、京都市左京区内にある駅の上り階段において、女性Vの背後から同女に近づき、手提げかばんの側面に取り付けていた隠しカメラでVのスカートの中を盗撮してしまいました。
Aさんの挙動がおかしかったので、盗撮行為や痴漢行為を警戒していた京都府下鴨警察署の警察官がAさんをマークしており、Aさんは階段を上り切ったところで職務質問を受けました。
Aさんがカバンの隠しカメラで盗撮したことを認めると、Aさんは迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~盗撮とは具体的にどのような罪か?~

駅で女性のスカートの中などを盗撮すると、通常、各都道府県が制定する迷惑行為防止条例違反の嫌疑をかけられます。
京都府内の駅で盗撮をしたのであれば、京都府迷惑行為防止条例違反の嫌疑をかけられることになるでしょう。

※京都府迷惑行為防止条例(抜粋)
第3条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
(省略)
2 何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
(1) みだりに、着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
(2) みだりに、前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、又は着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等をすること。
(3) みだりに、写真機等を使用して透視する方法により、着衣で覆われている他人の下着等の映像を撮影すること。

第10条 第3条第1項若しくは第2項(第2号に係る部分に限る。)、第6条又は第8条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 第3条第2項(第2号を除く。)又は第3項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

上記は、京都府内の駅で盗撮をした場合に適用される条文の抜粋です。
条文の細かな文言、法定刑は各都道府県によって異なる場合がありますが、公共の場所での盗撮については、概ね同様の規定が全国の迷惑行為防止条例に存在します。

~Aさんに必要な弁護活動~

Aさんは盗撮事件の被疑者として現行犯逮捕されてしまいました。
逮捕・勾留されると、最長23日間もの間身体拘束を受けることになります。
なるべく早く外に出られればよいのですが、どうすればよいのでしょうか。

弁護士に依頼し、①勾留を防ぐ活動、②勾留の取消を求める活動、③Vとの示談交渉を行ってもらうことにより、早期の身柄解放を実現できる可能性が高まります。
①が成功すれば、逮捕時から3日程度で外に出ることができます。
勾留されてしまうと、長期間にわたり身体拘束を受けてしまいます。
これを避けるために、②の活動が検討されます。
また、被害者と示談をすることも、刑事事件の弁護活動として重要です。

しかし、Vの処罰感情が峻厳であり、断固として示談を拒否する意向である場合、示談を成立させることは極めて困難です。
もちろん、弁護士は被疑者の利益のために、示談が成立するように努めますが、それでも示談がまとまらない場合は当然ありえます。

この場合は、検察官に対し、示談交渉を通じてAさんが真摯に反省し、Vに謝罪しようとしたことを訴えかけることにより、有利な事情として酌んでもらえることがあります。
また、示談金相当の金銭を供託したり、弁護士会などの団体に対して贖罪寄付をすることにより、謝罪と賠償の意思を示すことが有効である場合もあります。

被害者の処罰感情が峻厳である場合にも、Aさんにできることはあります。
弁護士のアドバイスを受けながら、有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、盗撮事件の解決実績も豊富です。
ご家族が盗撮事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

職場における盗撮行為

2019-12-20

職場における盗撮行為

職場における盗撮行為について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、神戸市中央区にある会社に勤務する会社員です。
ある日、Aさんが同僚のVさんに交際を申し込んだところ、これを拒絶されたことに対する報復として、AさんはVさんの盗撮画像を社内SNSにアップすることを企図しました。
AさんはVさんのスカート内を盗撮するために、Vさんのデスク下に盗撮カメラをしかけたのですが、カメラに気付かれてしまい、上司に相談されてしまいました。
上司がオフィス内の監視カメラを確認すると、Aさんが盗撮カメラを設置している様子が写っていたので、Aさんは社内で事情を聞かれました。
Vさんは精神的にショックを受け、しばらく休職することになりました。
Aさんは、Vさんが兵庫県神戸水上警察署に被害届を出すことを検討してるようだと聞いています。
(フィクションです)

~Aさんに成立する犯罪~

今回のAさんの場合、兵庫県の定める迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。
兵庫県の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第3条の2の第2項は、次のように規定しています。

第3条の2 第2項
何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
※注「前項第2号に掲げる行為」とは、第3条の2の第1項第2号の「正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為」を指します。

Aさんの会社の事務所にどれだけ人が出入りできるかによりますが、人の出入りが比較的自由であれば、「不特定又は多数の者が利用するような場所」に該当するでしょう。
このような場所で、Vさんのスカート内を盗撮した場合には、上記規定に違反することになると思われます。

また、上記規定は、撮影する行為だけでなく、撮影の前段行為ともいえる、盗撮目的で写真機その他の機器を差し向ける行為も禁止しています。
したがって、写真が撮影されていなくても、AさんがVのデスク下に盗撮カメラを設置した時点で、兵庫県の迷惑防止条例違反の罪が成立する可能性も考えられます。

また、Aさんが盗撮画像を社内SNSにアップした場合、別途、名誉毀損罪などの犯罪が成立する可能性があります。

~Aさんはどうするべきか?~

上記に検討した通り、Aさんの行為は兵庫県の迷惑防止条例違反などの犯罪に当たることになります。
ということは、上記事例でもあるように、Vさんに被害届を出されるなどした場合、警察による捜査が開始され、被疑者になってしまう可能性がある、ということです。
今回の事件でいきなり逮捕されてしまう可能性は比較的低いと思われますが、在宅で事件が進行する場合も、逮捕されてしまう場合であっても、善後策をとるに越したことはありません。
善後策としては、Vさんと示談し、謝罪と賠償を行うことが重要です。

示談交渉に先立ち、まず、弁護士と相談することをおすすめします。
Aさん自身でも示談交渉を行うことはできますが、①法律上有効でない示談を行ってしまうリスクがあること、②不当に高額な示談金を支払ってしまうリスクがあること、③そもそも交渉に応じてくれないリスクがあること、④罪証隠滅行為と評価され逮捕されるリスクを高めてしまうことから、自身で示談交渉を行うことはおすすめできません。

そこで、第三者であり、かつ、法律の専門家である弁護士をAさんとVさんの間に入れることにより、上記のリスクを減らすことができます。
示談交渉では、「今後Vさんには一切近づかないようにする」などの譲歩が必要になりますが、交渉次第では、示談書に「Aさんの刑事処分を望まない」、「被害届の提出や告訴はしない」旨の条項を入れてもらえることもあります。

捜査機関が事件を把握する前に示談がまとまれば、刑事事件化するリスクを減らすことができます。
また、会社との関係でも、被害者本人との間で問題が解決したとして、重大な処分が回避される可能性も考えられます。
刑事事件化する前の段階であれば、示談を通じ、有利に問題を解決することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
盗撮を行ってしまい、お悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

フィットネスジムで盗撮

2019-12-15

フィットネスジムで盗撮

フィットネスジムでの盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

大阪府豊中市在住のAさんは、24時間営業の近所のフィットネスジムの会員に登録していた。
Aさんが会員登録しているジムは、男女兼用のシャワールームが完備されており、深夜等の時間帯にはスタッフがいない状態となっていた。
Aさんは、スタッフのいない深夜の時間帯にジム内のシャワールームに入り、盗撮目的でカメラを設置した。
その後、利用客の一人がカメラの存在に気付き、通報したところ、監視カメラの映像からAさんがカメラを仕掛けたことが発覚した。
そして、大阪府豊中警察署の捜査により、Aさんは逮捕された。
警察がAさんのカメラに保存された映像を確認したところ、ジムの男性利用客がシャワールームを利用しているところが映っていた。
(上記の事例はフィクションです)

~各都道府県の迷惑防止条例違反~

盗撮行為については、各都道府県で制定された条例に違反する場合と、軽犯罪法に違反する場合があります。
 
例えば、大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる迷惑防止条例)6条2項は、「何人も、みだりに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態にある人の姿態を撮影してはならない」と規定しており、これに反した場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(迷惑防止条例15条1項1号)。

上記の事例において、Aさんは大阪府豊中市にあるフィットネスジム内のシャワールームにカメラを設置しています。
フィットネスジムのシャワールームは、ジム会員であれば誰もが使用することを予定されており、「公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所」にあたるといえるでしょう。
そのため、Aさんが大阪府豊中市で行ったシャワールーム内の盗撮行為については、大阪府の迷惑防止条例6条2項に違反することになると考えられるのです。

また、同条例6条2項違反の罪が成立するためには、盗撮映像が鮮明に保存されている必要があると考えられています。
Aさんのカメラには、ジムの男性利用客がシャワールームを利用しているところが映っていたことから、同条例6条2項の罪が成立することになるでしょう。

大阪府の迷惑防止条例6条4項は、「何人も、第一項第二号若しくは第三号又は前二項の規定による撮影の目的で、人に写真機等を向け、又は設置してはならない」と規定しています。
このような規定は、上記の通り盗撮行為があったといえるためには盗撮画像(映像)が鮮明に保存されている必要があることから、保存がなされていなかったり映像が不鮮明である場合などに適用される規定であり、多くの自治体の迷惑防止条例の中に存在します。

そのため、仮にAさんのカメラ設置後に当該シャワールームを使用する者がいなかったり、盗撮映像が鮮明に映っていない場合であっても、Aさんには同条例6条4項違反の罪が成立することになると考えられます。

~軽犯罪法違反~

上記のような各都道府県の制定する迷惑防止条例は、公共の場所での盗撮行為を処罰するものですが、住居などの公共の場所ではない場所での盗撮行為については、軽犯罪法違反として処罰されます。

軽犯罪法1条23号は、正当な理由なく人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者について、拘留又は科料に処すると規定しています。
拘留とは1日以上30日未満の身柄拘束をいい、科料とは1000円以上1万円未満の財産刑をいいます。

このように、盗撮行為であってもその態様によって様々な犯罪が成立することから、盗撮行為で逮捕された場合には、刑事事件専門の弁護士に相談することが重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、盗撮事件にも精通した刑事事件専門弁護士が多数在籍しております。
弊所では、24時間、無料相談のご予約、初回接見サービスのお申込みを受け付けておりますので、盗撮事件などの刑事事件についてお悩みの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。

盗撮で勾留前の釈放~身元引受人とは

2019-12-10

盗撮で勾留前の釈放~身元引受人とは

盗撮事件の勾留前の釈放身元引受人について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

埼玉県鶴ヶ島市に住むAさんは、通行人の女性のスカート内を盗撮したとして埼玉県西入間警察署の警察官に埼玉県の迷惑行為防止条例違反で逮捕されました。
Aさんは、逮捕後、埼玉県西入間警察署内の留置場に収容されましたが、警察官の「弁解録取」を受けた後、逃亡のおそれがない、罪証隠滅のおそれがないと判断され、検察庁へ送致(送検)される前に釈放されました。
Aさんの妻が埼玉県西入間警察署からの逮捕の通知を受け、ただちに埼玉県西入間警察署へ駆けつけ身元引受人となったことも大きかったようでした。
自宅へ帰ったAさんは妻と相談した結果、刑事事件専門の弁護士へ示談交渉を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 勾留前に釈放されることがある ~

逮捕されても勾留される前に釈放されることがあることをご存知でしょうか?

逮捕から勾留までは、「逮捕」→警察の留置場に収容→警察官の「弁解録取」→送検→検察庁での弁解録取→検察官の勾留請求→裁判官の勾留質問→裁判官の勾留決定という流れとなります。

「逮捕」から「裁判官の勾留決定」までは概ね3日間を要します。
裁判官が勾留決定すれば(検察官の勾留請求を許可すれば)、逮捕時に収容された留置施設に収容されます。
期間は10日間で、その後「やむを得ない事由」がある場合は期間を延長されることもあります。
身柄拘束期間が長引けば、逮捕された方の肉体的、精神的な負担となるばかりではなく、様々な社会的不利益を受けるおそれも出てくるでしょう。

ところが、この警察官の「弁解録取」の後、検察庁での「弁解録取」の後、あるいは裁判官の勾留質問の後に釈放されることがあるのです。
そもそも身柄を拘束される大きな理由は、被疑者に「罪証隠滅のおそれ」、「逃亡のおそれ」があると認められるからです。
そこで、こうしたおそれがない場合に身柄を拘束するとそれは「違法行為」ですから、こうしたおそれがない場合は捜査機関自ら釈放するのです。

~ 身元引受人 ~

身元引受人は、釈放された人、在宅事件で捜査を受ける人を監視、監督し、求めがあれば捜査機関まで出頭させたり、裁判に出廷させることを約束する人、をいいます。

身元引受人になるのははこうした約束ができる適格のある人ですから、通常、ご家族がなることが多いかと思われます。
もっとも、ご家族に適格がなかったり、ご家族が拒否したり、そもそもご家族がいない場合は、ご家族以外の第三者に身元引受人になることを依頼することもできます。
例えば、恋人や勤務先の関係者などが挙げられます。

身元引受人となると誓約したこと(被疑者の行動を監視・監督し、捜査機関にきちんと出頭させ、裁判所に出廷させること)はきちんと遵守しなければなりません。
仮に、遵守せず、被疑者が逃走するなどした場合は、その適格が疑われ、のちのちご本人にとって不利益となるでしょう。
しかし、身元引受人の方自身の生活もありますから、常日頃から、被疑者の行動を監視、監督することは不可能です。
また、遵守しなかったからといって、法的責任を負わされるわけではありません。

~ 釈放されても注意が必要 ~

無事に釈放されてもそれで事件が終わりというわけではありません。
勾留される前に釈放された場合、私選で弁護士を選任しなければ、釈放後の弁護活動を受けることはできません(国選の弁護人は選任されません)。

にもかかわず、捜査の手が緩められることはありません。
釈放された反動から、反対に取調べが厳しくなることも予想されます。
取調べ対応や被害者への被害弁償、示談交渉をお望みの場合は私選の弁護士に弁護活動を依頼しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件をはじめとする刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
盗撮事件などの刑事事件少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。
無料法律相談、初回接見サービスのご予約・お申込みを24時間受け付けております。

盗撮事件の示談交渉

2019-12-05

盗撮事件の示談交渉

神奈川県秦野市に住むAさんは、神奈川県秦野市内の駅構内において、小型カメラを忍び込ませた靴の先端部分を、前方で電車を待っていた学生Vさんのスカート内に差し入れました。
ところが、Aさんは、Aさんの行動を不審に思ったサラリーマンから通報を受け駆け付けた駅員に「盗撮していませんか?」などと声をかけられてしまいました。
Aさんは頑なに否認しましたが、駅室まで同行を求められカメラを出すよう求められたため提出しました。
そして、駅室に来た神奈川県秦野警察署の警察官と一緒に映像を確認すると、Vさんのスカート内(Vさんの太もも、下着など)が鮮明に撮影されていたことが判明しました。
そこで、Aさんは、神奈川県秦野警察署の警察官から神奈川県迷惑行為防止条例違反の疑いで警察署まで任意同行を求められ、取調べを受けました。
取調べ後、Aさんは逮捕されることはありませんでした。
Aさんは、Vさんと示談交渉したいと思い、盗撮事件の実績豊富な弁護士示談交渉を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 神奈川県での盗撮規制 ~

神奈川県では神奈川県迷惑行為防止条例(以下、条例)3条1項2号、または3条2項に盗撮行為を規制しています。

条例3条1項
何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
2号 人の下着若しくは身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)を見、又は人の下着等を見、若しくはその映像を記録する目的で写真機その他これに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、若しくは人に向けること。

条例3条2項
何人も、人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない。

この点、Aさんは、小型カメラを使って、駅構内という「公共の場所」にいるVさんの太もも(身体)、下着を撮影しています。
そして、撮影することも「見る」ことに当たりますから、Aさんの行為は盗撮行為(条例3条1項2号)に当たることは明らかでしょう。

~ 盗撮事件の示談交渉 ~

罪を認める場合は、一刻も早く被害者と示談交渉を進めることが肝要です。
示談交渉を進めているということは、基本的に罪を認めていることが前提で、その結果罪証隠滅のおそれはないと判断され、早期釈放に繋がりやすくなります。
また、示談が成立すれば、被疑者に有利な情状として考慮され、不起訴獲得の可能性が高くなります。
被害者様から「被疑者を処罰しないで欲しい」などという宥恕条項を獲得できれば、その可能性はさらに上がることとなるでしょう。

盗撮事件において、被害者が懸念されることの一つに「画像データの流出」があります。
近年では、盗撮画像や映像がインターネット上へ投稿されると、容易に拡散され二次被害をもたらすことがあります。
そこで、弁護士は、盗撮事件示談交渉を行う場合、まずは当該被害者においてどのような画像(顔ありか、顔なしかなど)が撮影されたのか明らかにするとともに、二次被害防止のための措置を取り、それを証拠化した上で示談交渉に臨むことも少なくありません。
盗撮事件の被害者の二次被害を防止するとともに、被疑者の適切な更生をお手伝いするためには、刑事事件での示談交渉につき経験豊富な弁護士にお任せされることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。

撮影していなくても迷惑防止条例違反

2019-11-30

撮影していなくても迷惑防止条例違反

撮影していなくても迷惑防止条例違反となるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、東京都八王子市内の駅において、女性Vのスカートの中を、小型カメラで撮影しようとしましたが、うまくシャッターを押せず、撮影することはできませんでした。
上記の行為を現認した鉄道警察隊の警察官から職務質問を受けたので、Aさんは「盗撮しようとしたが、写真は撮影できていない」と話しました。
警察官は「撮影できていない場合でも迷惑行為防止条例に違反している疑いがあるから、警視庁高尾警察署に来てほしい」と言っています。
Aさんは結局、警視庁高尾警察署で事情を聞かれることになってしまいました。
(フィクションです)

~東京都における盗撮行為の規制~

東京都の駅で女性のスカートの中の下着などを盗撮する場合は、東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の罪が成立する可能性が高いです。

同条例第5条1項は、次のように規定しています。

第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
1 省略
2 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
3 前二号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること

ケースの場合、同条例第5条1項2号ロに違反する可能性が高いと思われます。
近年では、盗撮行為だけでなく、盗撮行為の前段階と言える、「写真機を差し向ける行為」、「写真機を設置する行為」を禁止する自治体が増えています。
そのため、写真が撮れていない場合であっても、迷惑行為防止条例に違反することになってしまいます。

東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第5条2号ロに違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(同条例第8条2項1号)。

東京都のように、盗撮行為の前段行為を明示的に規制していない場合であっても、「卑わいな言動」を禁止する規定がある場合には、やはり盗撮を行った自治体の迷惑行為防止条例に違反する可能性があります。

~Aさんはどうするべきか?~

取調べでは、事件の当日何をしていたか、なぜその駅にいたのか、盗撮をしようと思った動機などについて、詳しく尋ねられるでしょう。
また、余罪の有無についても聞かれます。
カメラは押収されると思いますが、中の画像データに、他の盗撮事件をうかがわせるものがあれば、余罪についても追及されるでしょう。

こうした盗撮事件で被疑者となってしまった場合、逮捕されてしまうのかどうか心配される方が多いです。
一般的に、Aさんに証拠を隠したり、逃亡を図ったりするおそれがあると認められる場合には、逮捕されてしまう可能性が高くなります。
反対に、事件の証拠が全て押収されており、また、Aさんも取調べに対し正直に供述している場合には、逮捕されず、在宅で捜査が行われる可能性も少なくありません。

しかし、逮捕される場合、逮捕されない場合を問わず、なるべく早い段階で弁護士に事件解決を依頼することをおすすめします。
警察署から帰宅できたとしても、事件が解決したわけではありません。
在宅事件であっても、起訴され、有罪判決を受けてしまうと、前科となってしまいます。
被害者と示談をするなどし、起訴されないように活動していく必要があります。
示談交渉を弁護士に依頼すれば、Aさんにとって不当に不利な合意を行ってしまうリスクを無くすことができますし、また、弁護士が交渉の窓口になるので、Aさんの負担が少なくてすみます。

まずは弁護士と相談し、事件解決に向けたアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
盗撮事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

女子トイレに入り盗撮

2019-11-25

女子トイレに入り盗撮

アルバイトとして働くAさん(28歳)は、東京都千代田区にあるオフィスビルの1室で、Aさんのほか同僚3名と勤務していました。
Aさんは、同僚のうちVさん(25歳)に好意を抱いており、Vさんのことをもっと知りたいと思っていましたが、なかなかその思いを打ち明けられずにいました。
そのような中、Aさんは、Vさんが女子トイレに入り、小便をしている場面をスマートフォンで撮影しようと思うようになりました。
そこで、Aさんは、Vさんが席を立ったところを見計らってVさんの後をついていき、Vさんが同じフロアーの女子トイレに入ったことを確認して、女子トイレに入りました。
そして、Aさんは洗面台に上って、あらかじめ起動していたスマートフォンでVさんの様子を動画撮影しました。
ところがその直後、Aさんは、女子トイレに入ってきた別の女性と鉢合わせになり、その女性に大声を挙げられてしまいました。
そして、Aさんは、その声を聞いて駆けつけてきたビルの管理人らに事情を聴かれることになり、最終的に、警視庁丸の内警察署に建造物侵入罪、迷惑行為防止条例違反で逮捕されてしまいました。
なお、Aさんのスマートフォン内にはVさんの様子は写ってなかったとのことです。
(フィクションです)

~ 女子トイレ内での盗撮 ~

盗撮といえば、電車内、駅構内などの公共の場所、乗り物での行為をイメージしがちです。
しかし、自治体によっては、たとえば以下のような規定を条例に設け、公共の場所、乗り物以外での盗撮行為も規制しています。

例:東京都迷惑防止条例5条1項
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
2号  次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

つまり、東京都では、いわゆる「公共の場所」だけではなく、住居等の人が通常衣服の全部または一部を身に着けないような場所や、不特定又は多数の者が出入りする場所についての盗撮行為盗撮行為のための写真機等の差し向け・設置についても規制しているのです。
今回、AさんのスマートフォンにはVさんの様子は写っていなかったということですが、そのような場合でも東京都迷惑防止条例違反に当たる可能性がありますから注意が必要です。
なお、写真機等にはカメラ機能つきのスマートフォンや携帯電話も含まれます。

罰則は、東京都の場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の規定となっています。

~ 盗撮は建造物侵入罪にも当たる場合がある ~

また、女子トイレは1個の「建造物」であり、そこに正当な理由なく立ち入った場合は建造物侵入罪に当たる可能性があります。

刑法130条前段
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物(略)に侵入し、(略)者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

「侵入」とは、その建造物を管理している管理者の意思に反して立ち入ることをいいます。
本件の管理者は、オフィスビルを統括的に管理している管理者であり、盗撮目的の立ち入りは、その管理者の意思に反するといえますから、Aさんの立ち入りは「侵入」に当たる可能性が高いでしょう。
Aさんが女子トイレに立ち入ったことについては、鉢合わせとなった女性の話から明らかとなるでしょう。
また、盗撮目的で立ち入ったことについては、動画に記録された日時等から強く推測されてしまう可能性があります。

~ 盗撮事件の弁護活動 ~

弁護士としては、Aさんの早期釈放に努めることが考えられます。
勾留前であれば、検察官や裁判官に勾留しないように働きかけることができます。
また、勾留後であっても勾留決定に対する不服申し立てを行って早期釈放に努めることが可能です。
事実を認める場合は、建物の看守者や盗撮の被害者に被害弁償、示談交渉を行い、不起訴処分獲得を目指すことも考えられるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
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奈良県奈良市の盗撮事件での弁護活動

2019-11-20

奈良県奈良市の盗撮事件での弁護活動

奈良県奈良市盗撮事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは、奈良県奈良市内の駅上り階段において、女性Vのスカートの中を、スマートフォンのカメラ機能を用いて盗撮してしまいました。
撮影した瞬間、シャッター音が鳴ってしまったので、Vに気付かれ、奈良県奈良警察署に通報されてしまいました。
近くの交番から駆け付けた警察官がAさんのスマートフォンの画像フォルダを確認したところ、盗撮写真が発見されたので、Aさんは奈良県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~奈良県内の駅で盗撮事件を起こしてしまった~

奈良県内の駅で盗撮事件を起こしてしまった場合、奈良県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。

奈良県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第12条1項2号は、
「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゆう恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに」「着衣等の全部若しくは一部を着けないでいる他人の姿態若しくは着衣で覆われている他人の下着若しくは胸部等の身体をのぞき見し、又は写真機等を使用して、その映像を記録する行為であつて卑わいなもの」
をしてはならないとしています。

上記規定に違反し、有罪判決を受ける場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(奈良県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第13条1項)。

~盗撮で現行犯逮捕後、どうなる?~

現行犯逮捕されてしまった後は、警察署に引致され、犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明された後、Aさんの弁解を聞かれます。
この時に、当番弁護士を呼ぶこともできます。

その後、取調べを受けることになりますが、逮捕された段階でスマートフォンは押収され、画像フォルダの他の画像も見られてしまうものと思われます。
画像フォルダに他の盗撮画像などがあれば、その件についても尋ねられるでしょう。

~取調べで黙秘すべきか、正直に供述するべきか?~

日本においては黙秘権が保障されているので、警察官の問いかけに一切答えないでいることは可能です。
したがって、Aさんが話したくないことは、黙秘しても構いません。
ただし、実務上、黙秘を続ける場合、罪証隠滅のおそれがあると判断されやすく、身体拘束を長引かせてしまう可能性もあります。

記憶違いや言い間違いのおそれがないなど、特に問題がなければ、正直に知っていることを話すのも選択肢の一つといえます。
また、正直に供述することにより、裏付け捜査が進んで早く捜査が終わったり、反省していたため捜査に協力的であったと評価され、処分が軽くなることも考えられます。

ですが、よく分からないまま取調べで話してしまったがゆえに自分の意図しない不利な供述にとらえられてしまうリスクもあります。

このように黙秘権を行使するか否かは、難しい問題です。
接見にやってきた弁護士とよく相談し、取調べ対応の方針を決めましょう。

~示談交渉を弁護士に依頼~

捜査中に示談が成立すれば、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないものと判断され、釈放される可能性が高まります。
さらに、捜査の最終段階において、検察官が不起訴処分を行う可能性を高めることもできます。

示談を成立させることには、Aさんにより軽い処分がなされる可能性を高める効果があるだけでなく、身柄解放活動としての側面もあるのです。

~釈放された場合はどうすべき?~

勾留がつかずに済んだ、あるいは勾留中に釈放されるなどして、外に出ることができた場合であっても、事件が解決したわけではありません。
後に、検察官がAさんを起訴するか、または不起訴にするかを判断する機会があります。
それまでに、Aさんにとって有利な処分がなされるよう働きかけなければなりません。

不起訴処分がなされれば、裁判にかけられずに済むので、前科が付かずに済みます。
反対に、起訴されてしまう場合、Aさんが盗撮事件の初犯であれば、略式手続により、罰金を言い渡されることによって事件が終了する可能性が高いと思われます。

ただし、略式手続は、原則として、検察官のみの証拠により判断されることになります。
もし、事件に関してAさんがどうしても主張したいことがある場合(例えば、検察官の証拠について争いたい場合など)に略式手続に応じるのは賢明ではありません。
この場合は、略式手続に同意せず、公判でAさんの主張を裁判官に伝えるべきか否かを検討しなければなりません。
略式手続に応じるべきかどうかについては、弁護士と相談した上で判断することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、盗撮事件の解決実績も豊富です。
ご家族が盗撮事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

学校職員が学校で盗撮

2019-11-15

学校職員が学校で盗撮

学校職員が学校で盗撮をしたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは愛知県名古屋市中村区内にある大学の職員です。
Aさんは勤務先の大学の便所において、使用中のトイレの個室の中をスマートフォンのカメラを用い撮影してしまいました。
中にいた女子生徒Vさん(20歳)が驚いてドアを開けると、Aさんがいました。
Vさんは愛知県中村警察署盗撮されたとして被害届を提出し、Aさんは警察官に話を聞かれ、後日愛知県中村警察署に出頭することになりました。
(フィクションです)

~Aさんが行った盗撮は何罪?~

今回Aさんが行った盗撮には、愛知県迷惑行為防止条例違反の罪が成立する可能性が極めて高いと思われます。

愛知県迷惑行為防止条例第2条の2第3項1号は、
①住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、
②正当な理由なく、
③人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、
④人の姿態をのぞき見し、又は撮影すること
を禁止しています。

Aさんは、勤務先の便所において、正当な理由なく、人(女子生徒Vさん)の姿態を撮影したものであり、また、同撮影行為はVさんにおいて著しく羞恥心を与え、又は不安を覚えさせる行為であるということができるので、Aさんの行為が愛知県迷惑行為防止条例違反の罪を構成する可能性は極めて高いと思われます。
この盗撮行為による愛知県迷惑行為防止条例違反で有罪が確定すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

また、今回のようなトイレの個室の盗撮の場合、建物の管理者である大学の意思に反し、盗撮目的でトイレに入ったとされれば、建造物侵入罪に問われるおそれもあります。

~Aさんは今後どうなるか?~

Aさんは愛知県中村警察署に出頭することになっているようですが、警察署に出頭した後には取調べを受けることになります。
取調べでは、盗撮するに至った経緯や、余罪=ほかにも盗撮を行っている事実はないかどうかといったことを聞かれることになるでしょう。

~逮捕される可能性は?~

逮捕には、①通常逮捕、②現行犯逮捕、③緊急逮捕の3種類があります。
②は「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わつた」場合のみ可能です。
例えば、Vさんが犯行時にAさんを見つけその場で自らAさんを捕まえて警察に引き渡した場合が考えられます。
③は「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」の場合に、特定の状況下で令状なしに逮捕する逮捕を指します。

今回のケースでは②も③も当てはまりませんから、Aさんがケースの件で逮捕されるとすれば、①の通常逮捕がなされる可能性が考えられます。
AさんはVさんが届け出たあと、出頭を求められるまで在宅で待機する等Vさんに接触しないようにしていれば、学校職員という職についていることをも考慮すると、警察の求めに応じて出頭する限り、それほど逮捕される可能性は高くはないでしょう。
もっとも、出頭するまでのAさんの行動や、取調べにおけるやり取り、余罪が発覚した場合の余罪の種類によっては、出頭後に逮捕されてしまうことは十分あり得ます。
以下に、ケースの件に関して逮捕されるリスクを高める行動の例を紹介しましょう。

例・・・出頭前に逃亡する、急に出勤しなくなる、盗撮画像などの証拠を勝手に消去する、Vさんと接触を試みるなど

通常逮捕は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(嫌疑の相当性)がある場合にはじめて適法に行うことができます。
ただし、罪証隠滅や逃亡のおそれが全くないなど明らかに逮捕の必要がないと認められる場合には、逮捕状は発付されません。

上記の例に挙げた行為は、いずれも罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあると判断されるリスクを高める行為です。
在宅事件で捜査されているときは、逮捕されていないというメリットを最大限生かさなければなりません。
みずから逮捕されるリスクを高めることは、得策ではない、ということです。
出頭前に弁護士と相談し、出頭前、あるいは出頭後、どのように行動すればよいかについて助言を受けましょう。

~示談をし、有利な処分の獲得を目指す~

被害者と示談を成立させることにより、さまざまなメリットが考えられます。
例えば、示談を成立させていることにより、当事者間において事件が解決しているものとして、逮捕されるリスクが低減します。

また、検察官は捜査段階の最後に、Aさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めるのですが、示談を成立させることにより、不起訴処分を獲得できる可能性を高めることができます。

さらに、刑事事件とは別に、Vさんから損害賠償請求を受けるなど、民事紛争に巻き込まれるリスクを無くすことができます。
また、Vさんだけでなく大学とも示談や今後の処分などについても交渉する必要があるでしょう。
示談交渉についても、弁護士と相談し、有利な解決に向けて行動すべきです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、ケースのような盗撮事件の解決実績も豊富です。
愛知県内で盗撮事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。 

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